このページの本文へ

11万人従業員のトップが事業戦略を説明

IBMが目指す「ソフトウェア事業で全利益の50%」への道

2012年06月01日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

5月31日、日本IBMはIBMのソフトウェア事業およびシステム製品事業を統括するシニアバイスプレジデントのスティーブ・ミルズ氏による事業説明会が行なわれた。同氏がビジネス概要や戦略をプレゼンテーションなしで一気に説明するという形で進められた。

ソフトウェアだけですでに45%を占める

 ミルズ氏は、1973年入社の米IBM生え抜きで、1995年からソフトウェアグループを担当。2010年からは、システム製品事業も担当し、開発、製造、営業、マーケティングなどに従事する約11万人の社員を統括している。

米IBM ソフトウェア&システムズ シニアバイスプレジデント兼グループエグゼクティブ スティーブ・ミルズ氏

 現在、IBMはクラウド、ビジネスアナリスティック、スマーターコマース、スマーターシティ、物理インフラの最適化などに注力しているが、これらのベースとなるソフトウェアの比重は年々高まっているという。ミルズ氏は、「2011年、ソフトウェア事業の売り上げは利益の45%を占めるようになった」とアピール。2015年までにこの割合を、ソフトウェアだけで50%、そしてソフトウェア+ハードウェアで60%まで引き上げると明言。また、売り上げの割合も、北米・西欧・日本中心から、より50カ国の新興国にシフトしていくと説明した。

ビジネスアナリスティックにフォーカス

 また、同氏はソフトウェア事業での注力分野として、ビジネスアナリスティックを挙げた。「多くの企業はビジネスや市場動向はどうなるのか? どこに機会があり、リスクがあるかを予測したいと考えている。こうしたビジネスアナリスティックの分野は今後より伸びていく」と話す。データ収集やリアルタイムなデータ解析などを含めたビジネスアナリスティック分野に関しては、社内に専門家を数多く抱えているほか、過去5年で140億ドルという投資・買収も進めているとのこと。特にビッグデータと呼ばれるデータ解析領域では、コンピューターの低価格化や能力向上で現実味を帯びており、IBMでもホットな分野として技術開発を進めている。

 システム製品事業では、先頃発表された「PureFlexシステム」について言及した。PureFlexシステムは、サーバー、ストレージ、ネットワーク、OS、ミドルウェアまでを統合した垂直統合型のシステムで、仮想化リソースを迅速に提供できる。ミルズ氏は、「インテルCPUやPOWERに対応していること、高いパフォーマンス、HDDだけではなくSSDも搭載できること、複雑なアナリスティックにも対応すること」などの点をアピールしつつ、Cloud In The Boxとして「数回のクリックでインフラを構築できる」と、統合化・パッケージ化のメリットが大きいと説明した。その他、ミルズ氏は、同社が特に注力する分野として、モバイル分野やエンタープライズSNSなどを挙げた。

■関連サイト

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード