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「お客様窓口」に学ぶ企業SNS運営の鉄則 (2/3)

2012年06月01日 10時00分更新

文●小池 勉/コンテンツブレイン

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「真面目だけどおもしろい」という会社の顔を作る

 SNSを活性化させるには、「おもしろい話題」を含めつつ、「企業としての真摯な姿勢」を打ち出すという、相反する要素が必要になります。私は、サイトマスターからSNS運用について相談を受けると、相反する2つの要素をはっきりさせるために、次のような資料をお見せして一緒に検討を始めます。

 ポリシーとリテラシーに相当する内容について、サイトマスターと相談しながら、具体的なパターンに落とし込んでいくわけです。

 下の表は、ある企業のためにポリシーとリテラシーを具体化したものです。業界や企業の方針によって違ってくるもので、まったく逆の内容になることもありますが、企業の特性に合わせてポイントを押さえておくことが大事です。ポリシーとリテラシーが担当者の運用の規範となり、企業SNSを運用していくうえでのキモになるからです。

 1番目に書いた「明日の話をしない」とは、「明日会う会社の人、明日の行く場所」などは「今、どの会社と取引をしているのか」が類推されてしまうかもしれませんので、直接は機密に関することでなくてもSNSには書かない、という意味です。

 「機密情報を書かない」と書いてもいいのですが、「担当者本人が機密と認識してない」ケースもあります。だから、「明日の話はしない」という縛りにしたほうが、機密情報を守れるはずです。

SNSを使って企業価値を高める発言とは?

 ポリシーとリテラシーの策定が済んだら、次は「発言のカテゴリー」を決めます。相反する内容をバランスよく発言していくために、SNSで扱うべき内容を決めておきます。

 具体的な作業としては、以下の表の「目的」と「キーワード」の部分を埋めていきます。

 このような表を埋めていけば、自然に「真面目な発言」と「興味を引く発言」のバランスが意識されるのではないでしょうか? たとえば、「うちの会社のSNSでは、コミュニケーション部分を中心に据え、他のカテゴリーについてはバランスを見ながら発言していこう」「新しいジャンルの商品を紹介したいから、理解促進を前面に打ち出していこう」といった方針が立てられるでしょう。また、カテゴリーを決めておくことで、コメントの分類やユーザーの関心の整理など、今後の編集方針や評価にもつながります。

カテゴリーは企業に関するものだけに限定

 表を埋めるうえで最低限守りたいのは、どんなカテゴリーであっても、すべて「会社に関係のある内容」に限定することです。

 仮に世の中の話題になっているおもしろい時事ネタがあったからといって、自社に関係のない発言をむやみに繰り返していたら、ユーザーの目には企業SNSとして認識してもらえません。それでは企業SNSを運用する意味がありません。

 ユーザーが企業SNSに求めているのはあくまで企業からの情報発信なのです。それを自覚するためにも、このような表を作っておく意味があります。

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