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ストレージの未来が見える!EMC World 2012レポート 第5回

オールフラッシュストレージの計画まで明らかに

階層化管理には必須!フラッシュドライブに傾注するEMC

2012年05月28日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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HDDに比べて圧倒的な速度を持つフラッシュドライブは、ストレージベンダーにとっても注目のコンポーネント。EMC World 2012ではVNXeへのフラッシュドライブの実装や、XtremIOの買収、さらにはオールフラッシュストレージの計画まで明らかにされた。

バイト単価は大幅に下落中!いよいよ導入期か?

 EMCはフラッシュドライブをいち早くエンタープライズストレージに投入したベンダーとして知られる。2008年には、書き込み耐性の低いコンシューマ向けのSSDとは異なるエンタープライズ向けのSSDをいち早く導入。高速なHDD、安価なニアラインのHDDなどを組み合わせて、I/O要件やアクセス頻度にあわせてデータの格納ディスクを変えるストレージの階層化管理で活用している。

 こうしてフラッシュドライブがエンタープライズストレージに導入され、早4年。ネックだった価格や耐久性といった課題がクリアされつつあることで、顧客もフラッシュドライブの導入を本格的に進めつつある。EMC エンタープライズストレージ事業部 プレジデントのブライアン・ギャラガー氏によると、新VMAXに導入される2.5インチのMLCフラッシュドライブに関していえば、4年前に比べギガバイト単価で88%、SLCのフラッシュドライブと比べ20%も低価格だという。

フラッシュドライブの急速な低価格化

 2012年2月には「VFcache」と呼ばれるPCIe接続のサーバー用のフラッシュを発表。サーバーに取り付けることで、ストレージのキャッシュとして可能になる。あわせて、VFcasheを複数搭載する「Project Thunder」というアプライアンスの計画も進めている。

5%の容量でI/Oの70~80%をカバー

 EMC World 2012の発表によると、こうした需要に応え、ユニファイドストレージ「VNX」でも、従来に比べてフラッシュドライブの価格を38%引き下げた。RAID5やRAID6のディスクアレイの中にフラッシュドライブをミックスすることで、高い効果が得られる。EMC ユニファイドストレージ部門プレジデントのリッチ・ナポリターノ氏は「全体容量の5%のフラッシュドライブで、全I/Oの70~80%をカバーできる。これにより、パフォーマンスを倍に引き上げ、コストも大幅に下げることが可能だ」とアピールする。今回投入されたSMB向けの新製品「VNXe 3150」では2.5インチHDDとともにフラッシュドライブもサポートされており、より敷居も下がってきそうだ。

EMC ユニファイドストレージ部門プレジデントのリッチ・ナポリターノ氏

 さらに基調講演で明らかになったのは、イスラエルのXtremIOの買収だ。XtremIOは2009年に設立されたベンチャーで、オールフラッシュのストレージ製品を開発している。EMCからは「Project X」ということで、年末までに製品化される予定。筐体をまたいだストレージ階層化管理を推進する重要なファクターになるはずだ。

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