5月23日、『スマートテレビ スマートフォン、タブレットの次の戦場』(アスキー新書)と『ソーシャルゲームのすごい仕組み』(アスキー新書)の出版記念セミナーが、秋葉原のデジタルハリウッド大学院にて開催された。
現在のスマートテレビは“スマート”ではない?
セミナーではまず、『スマートテレビ』の著者である西田宗千佳氏がスマートテレビの現状とこれからの展望を報告。
「ネットが見れて、アプリが動くだけのテレビなら、3年前からあるが、話題にすらなっていない。今のスマートフォンやタブレットでできることをそのままテレビに持っていくだけでは、普及しない」と、現状の“スマートテレビ”をバッサリと斬り、「スマートテレビの画面で何を見せるのか?」「テレビに最適なユーザーインターフェイスこそが重要」と、来るべき次世代スマートテレビの在り方を予測した。
また、すでに一部のレコーダーで実現している「全チャンネル録画」がスマートテレビの機能として普及することで、「リアルタイム視聴の意味がなくなり、CMを中心としたテレビのビジネスモデルが変わる」可能性も指摘した。
コンプガチャ問題はソーシャルゲームの本質じゃない
続いて、『ソーシャルゲームのすごい仕組み』の著者であるまつもとあつし氏は、コンプガチャ問題で揺れるソーシャルゲーム業界に対して、「ビジネスモデルの柱になっていたのは事実で、競争状態にある個々の会社がこの問題への対応に足並みが揃ってない。業界としての対応が必要になる。今がまさに岐路」と問題点を指摘。
しかし、その一方で「マネタイズの部分よりも、クラウドや行動ターゲティングといった技術とゲームをうまく組み合わせている本質部分に注目していきたい」とし、DeNAやGREEといった元々ゲーム分野とは関係のない会社が運営し、ドラクエすらやったことのないような若い製作者が現場にいることを指摘して、これまでのゲームの既成概念を覆すようなゲームの登場に期待をかけた。
パネルセッションではテレビ・IT業界の幅広い議論も
セミナー後半では西田氏とまつもと氏によるパネルセッションとなり、鴻海(ホンハイ)精密工業グループとシャープの提携におけるアップルの影響や、4K2Kと3Dテレビにかけるテレビ業界の期待の違い、日米の映像配信サービスの普及状況の違い、家電やIT業界のこれからについて幅広い議論が展開された。