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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第95回

【ナムコ世代必見】iPadに降臨した、FM音源の皇帝「iYM2151」

2012年05月26日 12時00分更新

文● 四本淑三

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 80年代はシンセサイザーの戦国時代であり、その火ぶたを切ったのが1983年に登場したヤマハのDX7だった。

 当時のアナログシンセでは決して出ないパーカッシブなベース、クリーンなエレピサウンド、豊富な倍音を持った金属音。DX7は売れに売れ、同時に70年代末から続いてきたアナログ・シンセサイザーの低価格化、高級ポリフォニック機の流れは終焉を迎える。

 だがFMシンセの天下もそう長くは続かず、86年にはAKAI S900という安価なサンプリング・シンセサイザーが登場。たちまちのうちにシンセサイザーのPCM化が進行し、80年代の後半になると、FM方式のシンセサイザーはメインストリームから消えていた。

※ DX7 : 写真参照。発売当時の定価は24万8000円。良く知られているように初音ミクのキャラクターデザインはDX7をモチーフにしている

 そのFM音源を現代に復活させようというのが、DETUNE社のiPadアプリ「iYM2151」である。ゲームの世界でも、80年代半ばはFMサウンドが支配しており、その中心となったのがヤマハの「YM2151」というチップだった。iYM2151はそれをシミュレートすべく、ヤマハ純正のiOS用FM音源コアを使って企画されたもの。

 iYM2151プロデューサー・佐野電磁氏曰く「FMは音源界のラストエンペラーである」と。

iYM2151 App
価格3,000円 作者DETUNE Ltd.
バージョン1.0 ファイル容量4.5 MB
カテゴリーミュージック ユーザーの評価(3.5)
対応デバイスiPad 2 Wi-Fi / iPad 2 Wi-Fi+3G / iPad Wi-Fi / iPad Wi-Fi+3G 対応OSiOS 4.0以降

 しかしここで正直に打ち明けよう。私はFM音源が苦手だ。

 なにしろFMシンセは、それまでのアナログシンセに慣れた人間にはハードルが高かった。パラメーターの動きと音の変化の関係をつかみにくい上、小さな液晶画面に必要なパラメーターを呼び出してエディットするという作業。ああ、もうここまで書いてため息が漏れてくる。DX7が出た当時はまだ19歳だったから、老眼でつらいわけでもなかったのに、なんかもうやる気失せちゃったのである。

 それでもFM方式の音の面白さは知っている。そしてニンテンドーDS用「KORG M01」で知られるDETUNE社の製品であるからには、何らかの面白い仕掛けがあるに違いない。iOSの楽器アプリとしてはちょっとお高い3000円というお値段のハードルも、これがFM音源にチャレンジするラストチャンスとすれば決して高くはない。

 そこでこのiYM2151のプリセット音色やデモソングを作ったFMシンセのスペシャリストを交え、このアプリをいかに楽しみ、FM音源のハードルを超えるべきかを聞いてきた。

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