電池からの充電ではさらに遅くなる
単3型のエネループ×1個でどれだけ充電できるものか試してみたところ、残量50%から70%まで充電できた。所要時間は約3時間。1本あたり20%というのは妥当なところだが、USB給電以上に充電速度が遅いのは気になるところ。
コンパクトサイズなこともあって普段から持ち歩いて出先でちょっとUSB端子から充電するような使い方も考えられているようだが、この充電速度からすれば寝ている間に自宅で予備電池を充電するのをメインとして、持ち歩くのは単3乾電池しか入手できない場合の非常用/災害時用などと考えたほうがよさそうだ。
リチウムイオンに限らず充電池の充電は風船に空気を入れて膨らますように、圧力を掛けて電流を送り込むもの。風船に大量の空気を送り込めばより早く膨らむように、充電池に大きな電流を流せばそれだけ速く充電できる。
とはいっても、電池は化学反応によって電流を貯めこむため、反応が追いつかない速度で電流を与えても充電されないし、風船が破裂するように電池が破損してしまう可能性も高い。
充電器は電流の値を監視しつつ充電し、これ以上入らないポイント(風船を限界まで膨らませると内圧が高くなって空気が入らなくなるのと同様)で充電を終わらせるようになっている。
リチウムイオンバッテリーは1つのセルあたり3.7Vで、フル充電したときの電圧は4.2V、放電しきったときは2.7Vとされている。スマホなどで使われているバッテリーパックはほぼすべて1セル仕様だ。
一般的な充電器の場合、一定の電流で充電して電圧が規定の値(4.2Vであることが多いがフル充電すると電池寿命が減るので若干低い値)になったら充電を終了する。急速充電器と呼ばれる製品ではやや高めの電流を流しつつも、細かく電圧を制御することで電池の負担を減らしつつ速く充電できるようになっている。
さらに放電時や充電時に電池は発熱するものだが、ほぼすべてのバッテリーパックには温度を計測するしくみが内蔵されており、温度を監視しながら充電することで充電時の安全性を確保し、無理のない範囲で大きな電流を流すことができるしくみを採用しているものもある。
急速充電器とまではいかなくても専用充電器やスマホ本体での充電に匹敵するような汎用充電器がない(エネルグにしても温度監視用端子は付いていない)のは残念なところで、急速充電器とまでは言わないものの、汎用充電器にしてももう少し選択肢が増えてくれるとありがたいのだが。
取り扱いの注意事項がやや多いのが難点か
実際の利用の際には、満充電したバッテリーパックを持ち歩き、スマホ内の電池が切れたら裏ブタを開けて取り替えるという作業は説明するまでもないだろう。もちろん電池交換時には電源を切って入れなおすことになる。
予備バッテリーパックよりもUSB給電外付けバッテリーのほうが好まれる理由のひとつにこの“いつでも使えるデバイスだけに一度電源を切ることで利用・着信が不可能な時間が生じてしまう”ことへの抵抗感があるように思えるのは邪推だろうか。
裏ブタを外すのが面倒な機種もあるとはいえ、慣れれば数十秒で交換、再起動含めても1分強で済むのだからさほど気にすることはないはず。
利用時の注意すべき点としては、予備電池を持ち歩く時は絶縁できるビニール袋などに入れること。スマホを使い続けるとボディーが熱くなることがあるように急速な放電により電池は発熱するわけだが、カバンの中などで金属に触れてショート(=急激な放電)したときの発熱量は洒落にならないどころか発火することもある。
また、一部のスマホの機種で起きた発火事故のように、裏ブタや電池が取り出しにくいからといって先の尖った物でこじるのもやめておきたい。バッテリーパックの外装はかなり弱くてマイナスドライバーどころかペンの先などでもヘコんでしまい、事故の元になる。
このように、予備バッテリーは取り扱いに注意が必要なことがネックではあるが、それに見合う携帯性は備えていると思う。
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