ISPパネルの美しさと
上下左右178度の広い視野角
デルは、手頃な価格の「IN」シリーズをはじめ、マルチメディア用途向けの「S/ST」シリーズ、3D対応など最先端の技術を取り入れた「エンタテイメント」シリーズなど、多くの液晶ディスプレーを展開。その中で最高クラスの画質と性能を誇り、プロユースにも対応するフラグシップモデルとなっているのが「デジタルハイエンド」シリーズだ。今回紹介するU2711もそのひとつで、直販価格は5万9980円となっている(2012年5月16日現在)。
その大きな魅力は、フルHDを大きく超える2560×1440ドットという高い解像度とISPパネルの採用によって、カメラマンやグラフィックデザインの現場でも使える高画質を実現していることだ。色空間の国際標準規格のsRGBカバー率は100%、より色域の広いAdobe RGBもカバー率も96%と、スペックからも色彩の表現力の確かさが分かる。
視野角も非常に広く、左右178度と上下178度と実現。安価なTNパネルを採用する液晶ディスプレーでは、パッ見の発色を良くするためコントラストを強めにして色が飛び気味になっていたり、ちょっと視線を上下に動かすだけでも色の変化を感じることもある。これに対してU2711は、ほぼ真横から見ても色の変化を感じず、写真など色の複雑な画像の再現度の高さには感動するほど。
ちなみに、TNパネルでも視野角が広い製品は存在するが、それらスペック上の視野角は“画面が見える”というだけで、色やコントラストの変化までは考慮されていない。“どの角度でも美しく見える”ことが、IPSならではの特徴なのだ。機会があれば、店頭などでぜひ確かめてほしい。
応答速度は中間階調域で6ms、GTGで12msと特に速いわけではないが、応答速度を高速化しにくいIPSパネルの特性を考えれば、十分な数値といえる。実際に、アクションゲームをプレイしたり、動画をいくつか再生したが、遅延を感じることはそれほどなかった。視野角が広いだけに、家庭用としても使えそうだ。
入力はアナログRGB端子、DVI-D(HDCP対応)端子×2、HDMI端子、DisplayPort端子、コンポーネント端子、コンポジット端子の7系統と充実。スピーカーは備えていないが、DisplayPortとHDMIからのオーディオ信号を出力するための端子(5.1ch対応)は用意されている。ディスプレーの下部にはオプションのスピーカーを追加が可能。これらに電源を供給するための電源コネクタがディスプレーの背面が搭載されている。
なお、2560×1440ドットの高解像度で表示できるのは、デュアルリンクのDVIまたはDisplayPortでの接続のみ。HDMIとコンポーネント接続では最大1920×1080ドット(フルHD)が解像度の上限となるので注意したい。
このほか、背面にUSB 2.0端子(アップストリーム)、左側面にUSB 2.0端子×4(ダウンストリーム)、8in1メディアカードリーダーを搭載。USB機器の接続やデジカメの撮影データの取り込みを手軽にできるのも便利だ。