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SSDベンダーSTECが国内で初めての発表会

耐久性もコストもクリア!エンタープライズSSDはもっと伸びる

2012年05月17日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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5月16日、エンタープライズ向けのSSD製品を手がけるSTECは国内で初めての発表会を開き、新技術の発表や市場動向について説明した。同社独自のCellCareでは、SSDの信頼性や耐久性を大幅に引き上げられるとアピールした

エンタープライズSSDにフォーカス

 STECは1990年に設立されたSSDのベンダーで、1990年代後半にコンシューマ事業を切り離し、耐久性や信頼性にフォーカスしたエンタープライズSSDに事業を集約した。その後、FCやSAS、SATA、PCIe対応の多彩なエンタープライズSSD製品を展開しており、コストパフォーマンスの高いMLC(Multi Level Cell)の製品化もいち早く進めた。STECジャパン 日本支社長の要田康伸氏は、「エンタープライズにフォーカスしているので、信頼性で高い評価を得ている。製品も外部への委託ではなく、垂直統合的に事業を推進している」と説明した。

STECジャパン 日本支社長の要田康伸氏

 また、数多くの特許や耐久性の技術を持ち、18年に渡る製造実績も大きい。要田氏は、「60以上あったHDDメーカーはすでに3社になってしまった。やはり継続的に投資できるかが重要になる」と技術開発の継続について説明する。

米STEC テクニカルマーケティング ヴァイスプレジデントのスコット・ステッツアー氏

 続いて最新の市場動向について説明した米STEC テクニカルマーケティング ヴァイスプレジデントのスコット・ステッツアー氏は、データセンター分野においてエンタープライズSSDの需要が増していると概説した。サーバーの仮想化やビッグデータの台頭によって必要とされる高速なI/O要求に対して、SSDは高いパフォーマンスやコスト削減を実現するという。課題と言われるコストに関しても、求める要件を満たすためのハードウェア、ソフトウェアなどを含めたソリューションとして考えると、実はHDDに比べて安価になると指摘した。同容量のシステムを比較すると、SSDキャッシュと大容量な低速HDDを組み合わせた場合のほうが、すべて高速なHDDを利用した場合に比べて半分の価格で、20倍の性能を出せるという。

CellCareで高いエンデュランス特性を実現

 しかし、コストだけではなく、フラッシュメモリに関しては書き込み寿命という壁があり、この壁がエンタープライズでの導入を妨げてきた。これに対して同社が提供するのがSSDのエンデュランス特性(書き込みや読み出しの耐性)を向上させる「CellCare」である。CellCareではコントローラーがダイ単位でフラッシュのパラメーターを監視し、書き込みの集中を防ぎ、劣化を低減するというもの。また、DSPによって高度なエラー訂正を実現し、信頼性を維持。読み出しのリトライも削減するという。この結果、1日27回の完全書き換えを5年間キープできるという高いエンデュランス特性を実現した。

米STEC フラッシュチャネル開発技術担当 バイスプレジデント パブロ・ジベロヴィッチ氏

 米STEC フラッシュチャネル開発技術担当 バイスプレジデント パブロ・ジベロヴィッチ氏によると、実際にエンタープライズ向け、コンシューマ向けのMLCフラッシュに対してCellCareを適用したところ、使っていない場合に比べてはるかに高いエンデュランス特性を実現したという。具体的には、エンタープライス向けMLCでは2倍、コンシューマ向けMLCではなんと13倍も向上したとのことだ。コントローラーの機能により、低価格なコンシューマ向けMLCをエンタープライズレベルまで引き上げられることで、インパクトがあるという。

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