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他社製品も載るマネージド型のクラウドIaaS

IBMの新クラウド「SCE+」ではSLAと運用サービスがプラス

2012年05月16日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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5月15日、日本IBMはクラウドラインナップを強化し、マネージド型サービス「SmarterCloud Enterprise+」を発表した。可用性をベースにしたSLAやITILベースの運用サービスまで選択できるようになっているのがポイントだ。

ますます浸透するクラウドに新ラインナップ

 発表会の冒頭、クラウド事業について説明した日本IBM 執行役員 クラウド&スマーター・シティー事業担当 吉崎敏文氏は、国内での事例を挙げることで、クラウドビジネスの好調ぶりをアピールした。「開始当初はコスト削減が主眼だったが、迅速なデプロイや運用負荷の軽減に焦点が当てられている。また、事業継続やバックアップにおいてもクラウドが利用されているのも最近の傾向」と述べた。

日本IBM 執行役員 クラウド&スマーター・シティー事業担当 吉崎敏文氏

 また、吉崎氏によるとIBMでは、提供場所、運用管理、資産、専有/共有という要件を軸に3種類のプライベートクラウド、2種類のパブリッククラウドにサービスを分類しているという。たとえば、仮想化やミドルウェアまで組み込んだ垂直統合型のコンピューター「IBM Pure Systems」は、企業内のプライベートクラウドを前提とした製品だ。一方、今回発表されたSmarterCloud Enterprise+(以下、SCE+)は、IBMのクラウドアーキテクチャーに基づいて構築されたIaaSに、ITILベースの管理体系を組み合わせたマネージド型のサービスにあたる。

IBMのクラウドサービスモデル

運用サービスまでサービス化

 SCE+では仮想マシンのスペックのほか、サービスレベル、OSやミドルウェア、運用サービスまでをポータルサイトから自由に選択できるのが特徴となっている。サービスの詳細について説明した日本IBM 副社長執行役員 グローバル・テクノロジー・サービス事業担当兼パートナー事業 管掌 下野雅承氏によると、仮想マシンは32/64ビットのx86サーバーが5種類、Power Systems(64ビット)が5種類から選択できるほか、他社製品も含めたOSやミドルウェアを選べる。また、データセンターもグローバルで構築される8カ所からユーザーが指定でき、グローバルで均一なサービスを提供するという。

日本IBM 副社長執行役員 グローバル・テクノロジー・サービス事業担当兼パートナー事業 管掌 下野雅承氏

 こうしたスペック選択は従来のSCEでも提供されていたが、SCE+では可用率98.5%のブロンズから、99.9%のプラチナまで4タイプのサービスレベルが用意されている。「稼働率の平均ではなく、個々の仮想マシンレベルでの可用性という厳しいSLAを課している」とのこと。これを実現すべく、各レベルの要件にあわせ、ディスクやシステムの冗長化を図ると共に、仮想マシンの自動再起動やモビリティのサポート、さらに仮想マシンの連続稼働できるよう保守ウィンドウを設定しているなど、インフラレベルの高さが背後にはあるという。

サービスの可用性でSLAを用意

運用サービスまでポータルで選択できる

 そして、SCE+の最大の特徴は運用サービスが用意されている点だ。OSのバージョン管理、バッチ管理、ITILベースのサービスカタログ、インシデントや問題管理、変更管理、構成管理、OSレベルのモニタリングやアラートなどのセキュリティ管理が提供される。こうしたサービスまで含めて、ポータルから簡単に調達できるのが、クラウドならではのメリットだ。

 あわせてSCE+だけではなく、SmarterCloud上でSAPシステムを載せる「SmarterCloud for SAP」の開発意向も表明した。

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