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「近江牛」でGoogle上位のEC、脱・縦長ページで復活 (2/3)

2012年05月21日 11時00分更新

文●三浦たまみ

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斬新なコンサルタントの視点

 では、実際に、サイトのリニューアルを依頼されたゴンウェブコンサルティングは『近江牛.com』へどのようなアンサーをしたのだろうか。

 先のリニューアル後のトップページをもう一度見てほしい。

 視覚的に目に飛び込むメイン画像を見る限り、新保さんの「エシカル・ソーシング」が前面に出て主張している感じには見えない。「ギフトにお肉を贈りたい人にアピールしているECサイト」というのが第一印象だ。

「その通りです。今回のリニューアルの大きな特徴は主にふたつ。ひとつは、メインのターゲットユーザーを、自宅用のお肉を探している人から、ギフト用のお肉を探している人に変えたこと。もうひとつは、商品を買うまでの動線と、新保さんのこだわりを伝える読み物コンテンツなどの動線を明確に分けたことにあるんです」(権さん)

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トップページ上部もきれいに整理されて、「ギフトにお肉を贈りたい人」にアピールするサイトに変わった。旧サイト(下)は、「自宅用のお肉を探している人」にアピールしていた

 どんなに思い入れがあっても、エシカル・ソーシングをサイトのトップページから大々的に謳うべきではない。これが、ゴンウェブコンサルティングが、3カ月かけてアクセスログの分析などを通して出した結論のひとつだったのだ。

 なぜ、サイトオーナーの「思い」を前面に出さないのか。答えは簡単だった。

「アクセス数を計測したところ、エシカル・ソーシングに関するページは、ほとんどアクセスがなかったからです」(権さん)

 もちろん、エシカル・ソーシングは、『近江牛.com』の根幹を支える大切な考え方だ。しかし、それがお客様の購入動機に結びついてはいなかったことが分かったのだ。エシカル・ソーシングは、ひとたび見せ方を間違えれば、分かりにくい、とっつきにくいお店という印象を与える危険もある。さらにいえば「おいしいお肉が買えればそれでいい」と思うお客さまにとって、こだわり云々の前に、目的の商品を迷わずに買えることの方がはるかに重要なのである。

 結果として、エシカル・ソーシングの考え方をはじめ、新保さんのこだわりを伝える読み物コンテンツについては、「良い内容にもかかわらず、読まれていない」ことが判明したため、買い物をする動線とは明確に分けて見せていくことにした。

「調査結果から、牛肉や畜産に対する熱い想いを綴ったコンテンツは全然見られていないことが分かりました。いったい今まで何をしてきたんだろうとがっくりしましたが、同時に、これから作るサイトで挽回しようと思いました。そのためにも、まずは、買うところ、こだわりを述べるところは棲み分けなければならないと痛感しました」(新保さん)

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「エシカル・ソーシング」という考え方も含めた新保さんの考え方がつまった「サカエヤのこだわり」コーナー。トップページにある。旧サイトに比べると整理されて見やすくなっているが、削除された情報はない

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