メジャーデビューと動画デビューは同じ感覚
―― そのカゲロウデイズが大爆発して、小説まで書くことになったわけですけど。
じん Twitterで連絡をもらって、「アレや! 頼まれるアレのヤツや!」ってなりまして。(小説の)ストーリーのプロットを組んだとき、今度は音楽とは別の悩みが出てきたんです。おおまかにこういうことをやりたいなというイメージを、具体的にどう落としこむかっていう。
―― 小説と音楽をリンクさせると。作っているときはどんな感覚なんでしょう?
じん 映画の脚本と劇伴を同時につくっている感覚ですね。
―― それはまた新しい。
じん 「このシーンのギターは、主人公がこういう感情だから、もっとこういうギターを弾いた方がいいんじゃないか」とか、「悪いヤツがいるからこういうサウンドがあった方がいいんじゃないか」とか。恋人と別れたシーンは、ギター1本で歌うとかもありました。レコーディングは生で録って、もともとバンドでやっていた経験が生きてきたところだと思います。
―― それにしてもお話を伺っていると、ものすごく落ち着かれてますよね。もともとプレッシャーには強い方なんでしょうか。
じん あんまり感じてないですね。夜中の3時とかに「曲ができなくて……」と(事務所のスタッフに)電話をかけたりはしましたけど、ヤンデレの彼女みたいに。
―― それはイヤですね……。
じん 5作目(想像フォレスト)は作風をポップな感じに変えたんですけど、そのときはさすがに叩かれるだろうと思って。「終わった\(^o^)/」って言われるだろうと……。
スタッフ でも、いざ公開して好評な意見があったとき、ぼくに「言ったじゃないですか、超良い曲だってー!」とか言ってきて。
じん ヘコんだときも、自分の曲を聴いたとき、ああやっぱりいいなと思えるんです。自分が良いと思ってやったものに関しては、反芻してもいいなと思えるものなんですよね。それが1つの救いですね。
―― 曲へのプレッシャーはあっても、それ以外のプレッシャーはない感じですね。
じん 全部自分でやるってことになると怖い部分もあるんですけど、聴いてる人にはビックリしてもらえるのかなと思います。
―― なるほど。ふと思ったんですが、今回のデビューも、ニコニコ動画に作品を投稿して“デビュー”したときと似たような感覚なんでしょうか? だから“これで俺もメジャーデビューだ!”みたいな気負いがないのかもしれない。
じん 確かに似てますね。ちょっと怖いところもあるけど、これで小説がいい評判になったりすると、また「良いって言ってたじゃないですかー!」って言うのかも。それに(デビューしても)今回で終わったわけでもなくて、節目みたいな感覚です。
―― このプロジェクトはまだ始まったばかりだと。
じん 俺たちの戦いはまだこれからだと。
―― それ言ったら最終回になっちゃいますから。ホントにいろんなことが変わってるんだなと感じるお話でした。これからの展開にも期待しています。