友だちのお兄ちゃんがボカロPだった
―― 高校生から専門学校生は2007~2010年くらいの話だと思います。その時期はニコニコ動画も黄金時代だと思うんですが、聞くところによると全然見てなかったと。
じん はい。2年くらい前に初めて知りました。
―― それでボカロPになるっていうのが不思議という気がします。
じん じつは専門学校の同級生が「うちの兄貴もボーカロイド使ってる」って。
―― 友だちのお兄ちゃんがボカロP!
じん かもしかさんって方なんですけど。友だちの家に行ったら、お兄さんが「これで作ってるんです」って(パソコンを)見せてくれて。「おーっ、初音ミクってこんな声出るんだ、おもしれー!」って。
―― ガチなロック、ポストロックと、ロック一直線で来ていたわけですよね。そこでアニメ声の初音ミクというのが不思議です。
じん それはそれでおもしろいじゃないかと、シンセサイザー的に考えて。レディオヘッドみたいに歌のニュアンスが大事なものを再現はできないけど、すごく速い言い回しができるじゃないですか。人間じゃできないようなことができるんじゃないかと。
―― なるほど、なんというか目線が冷静ですばらしいです。
じん ただ、(ボカロを)やってみようと思った矢先に就職が決まって。
―― それはおめでとうございます。
じん その間に初音ミクのことを忘れて。
―― それは……おめでたくないですね。
じん 「このあいだの曲どうなってる?」と、かもしかさんから連絡をもらったときにようやく思い出しました。でも、投稿が分からなくて。
―― 投稿が分からないって。
じん かもしかさんにお願いして、「ぼくのアカウントから代理で投稿してください、文章はこの文で」と。イラストをお願いして、動画は静止画で。投稿したあと、投稿者のコメントで歌詞を打ちこめば表示できるから、と教えてもらって。
―― インターネットデビューだったわけですね。どうでしたか?
じん うれしかったです。本当に聞いてもらえてるっていうのが。数字が出るじゃないですか。マイリストってのが何だかわかってなかったんですけど、お気に入りみたいなものだと教えてもらって、何百人もお気に入りに登録してくれてるってことがすごくうれしくて。
―― 今までは13人だったのに。
じん はい。もともと(作曲の)ペースを長い感じでやっていこうと思ってたんですけど、すごく聞いてもらえてたので、じゃあ2曲目を作らなきゃという感じになりました。