消費電力と熱はやや接戦
最後に消費電力と熱、ファンノイズの3点をチェックしたい。消費電力は「watts UP? Pro」でアイドル時および「BattleField3」プレイ中の安定値を、同タイミングで「GPU-Z」によるGPUコア温度を取得した。
さらに騒音計「SL-1370」でバックパネル側の排気口から約40cmの位置からファンノイズを測定している。今回の暗騒音は33.3dBAだ。
まずゲーム中の消費電力はGTX680の約5%下で、これは性能比にほぼ近い値といえるだろう。TDPが25Wも下がっているのにGTX680と大差ない点がやや気になるが、GPU Boostの効果で自動オーバークロックがガンガンかかるような状況では、GTX680に非常に近い値となるようだ。
ただ「OCCT Perestroika 4.2.0」の「GPU Test」のような“Power Virus”系テストでは、Keplerコアの共通仕様として限界近くまで回らないようになっているようで、その場合はGTX680と670の消費電力は大きく差がついてくる。
一方ライバルとの勝負に目を向けると、HD7970には消費電力で大きく下回るものの、TDP130WのHD7950には負ける。ただこの価格帯のGPUを買う人が「20~30Wの消費電力差を優先してゲームのfpsを20fps犠牲にできますか?」と問われれば間違いなくNoと答えるはず。ワットパフォーマンスという意味ではライバルより確実に勝っているといえるだろう。
残念だったのはファンノイズだ。高負荷では高回転になるHD7970/7950より各段に静か、数値上ではGTX680も軽く下回っているのだが、いかにも軸ブレしてそうなカラカラという音が気になった。コスト重視の結果なのか、貸出機ならではの個体差なのかは不明だが、リファレンス使用よりもサードパーティー製の静音クーラー付きのものが狙い目になるかもしれない。
GTX680との価格差は約1万円
それを高いと感じるか、安いと感じるかで評価が変わる
現行ゲームならば、GTX670で十分なフレームレートが得られ、ワットパフォーマンスも非常に良好。フルHD液晶1枚でプレイする環境であるなら、GTX670は極めて現実的で優れた選択だ。
問題は価格だ。アキバ界隈では、オーバークロックモデルが4万7800円前後、リファレンスデザイン準拠品の最安値が3万9800円前後となっている。GTX680が実売5万5000円前後で流通している現状を考えると、GTX670の安定価格は4万台半ばになりそうだ。
しかしゲーム環境に金を惜しまない猛者が、1万円をケチってGTX670をわざわざ買うというのは少々考え難い。ベンチでも明らかな通り、低負荷ではGTX680に迫るが、負荷が重い条件にするほどCUDAコアの少なさ、ブースト時クロックの低さが響いてくる。
GTX670は現行ゲームに即効性のあるソリューションとしては非常に強力だが、将来の超ヘビー級ゲームの迎撃用としてはややコストパフォーマンスが悪いと思えてならない。マニアには甘口すぎ、かといって一般ユーザーが手を出すには辛口すぎ、というのがGTX670の“味付け”ではなかろうか。
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