カタログ値以上の走行距離を叩き出した
ヤマハ発動機「PAS VIENTA」編
今回の電動アシスト自転車レビュー、最後となる5車種めはヤマハ発動機の「PAS VIENTA」。これはどちらかというと女性ユーザーを意識した、街乗りに最適なカジュアルモデルです。身長170cmの筆者には少し窮屈な感じですが、乗れないことはありません。モーターは、ヤマハ発動機製を搭載したブリヂストンの「リアルストリーム」と同様に、クランク部分にあるタイプです。コントローラー兼サイクルコンピューターもリアルストリームと同じタイプです。
バッテリー容量は、リアルストリームの8.1Ahに対して6.0Ahと少なめです。前回の記事でレポートしたとおり、リアルストリームのアシスト強モードでバッテリーがなくなるまでの距離は45km(カタログ上は31km)でした。PAS VIENTAでは、カタログ上は23kmほどとありますが、このリアルストリームの例から、30kmくらいは走れるのではと予想できます。
というわけで、今回も東京ドームからスタート。この日の降水確率は50%。自転車の返却期限が迫っているので、雨が降らないうちに走りきらないとまずいんです(笑)。
9kmほど走った九段坂上に到達した時点でバッテリー残量が70%。リアルストリームのときは、同じ地点で80%でした。
紀尾井坂(11km地点)では、自転車便のサイクリストの後方を走って上がりました。このときバッテリー残量は59%。
TBS裏の急な坂・三分坂も、リアルストリームと同様に力強いアシストですいすい上れました。坂の途中でわざと止まってみましたが、スタートにも問題なし。5台走り比べて、ヤマハのモーターの安定感をまたまた実感させられました。三分坂を上がったところで残量は48%、走行距離は13kmほど。このあとしばらく急な上り坂は少ないため、30kmは行けそうな感じです。
その後順調に走り、「ひょっとしたら晴海大橋(36km地点)まで行けるかも」と思いましたが、皇居の桜田門手前でバッテリー切れ。走行距離は31kmあまり。当初の予測どおりの数値となりました。心配していた雨は、皇居から神保町の事務所に戻る途中で降り始めて、なんとか間に合いました。
さて、PAS VIENTAのアシスト力は、リアルストリームと同様、走り出しや上り坂など、力が欲しい局面で安定した力を発揮します。パナソニックサイクルテックのジェッターよりやや強い印象ですが、女性向けにマイルドに仕上げられているのか、リアルストリームにあったようなペダルを踏んだとたんに生じるパンチ力はありません。そのおかげか、誤って急発進してしまうことはありませんでした。
※今回の走行ログ(iPhoneアプリ「Cyclemeter」で計測)
カジュアルタイプ2車種のまとめ
angee+Lの走行距離は、カタログ値の半分の21kmほどでしたが、これは常にアシストをオンにした状態。平坦な道ではオフにするなどの走行をすれば、片道10km程度の通勤・通学にも耐えられるでしょう。ちなみにこの車種には、下位モデルのangee+Nがあります。ニッケル水素バッテリーを採用して2万円ほど安いのですが、走行距離がちょっと短いです(カタログ値27km)。周囲に坂道の多いお宅では、近所のスーパーやコンビニへの買い物に使うための足と考えれば、こちらでも十分でしょう。
ただし、ニッケル水素バッテリーは、メモリー効果抑制のため、定期的にリフレッシュしなければならないなど、リチウムイオンバッテリーと比べて多くのケアが必要となります。
PAS VIENTAは、女性向けを意識したモデルで、力強く安定したアシスト力が魅力です。アシストなしでも走れますので、片道10km程度の通勤・通学でも、走行モードを工夫しながら乗れば、充電は2~3日に1回でも余裕でしょう。今回の5車種の中では、個人的にはリアルストリームに次いで2番目に楽できた自転車でした(その分、バッテリー消費までの走行距離は短くなります)。
5車種の試乗レポートのため、都心を250kmほど走ってみると、けっこう電動アシスト自転車を見かけました。ただし、そのほとんどは子供を乗せるシート(チャイルドシート)が付いたシティーサイクル(ママチャリ)や、コピー機のメンテナンスの人やルート営業担当者などが乗る業務用。前回レポートしたようなスポーツタイプは全く見かけませんでした。
電動アシスト自転車は、自転車というより原付バイクの代わりに思えます。子供乗せや業務用以外であれば、今回紹介したカジュアルタイプのほうが普及しそうな気がします。筆者はスポーツ自転車が好きなので、電動アシスト自転車は自分では乗りませんが、力の弱い妻や最近運動不足気味の兄などにオススメしたいと思いました。運転免許も必要なく、適度な運動にもなるので、一家に一台あると便利でしょう。
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