液晶パネルの元となるマザーガラスの一覧。モバイル向けの小型パネルはP2~P3の小さなガラスから切り出す。P7やP8の大型マザーガラスは大画面テレビ用で、P8は2200×2500mmのサイズがある
記者団はP7と呼ばれる工場内部の見学コースを見学した。P7で製造されるマザーガラスは、1950×2250mmの大きさがあるが、厚さはわずか0.5mm、重さは8kg程度という。見学コースの側にある製造装置は、残念ながらメンテナンス中で実際に動作しているところは見られなかったが、クリーンルームの内部にガラスで覆われた清浄な生産ラインを用意する方式であった。こうすることで、ゴミの元となる人が出入りする区画と、ガラスが行き来するラインを分離して不良率を下げるわけだ。
微細な構造を持つ液晶ディスプレーを製造する露光装置は、半導体用のそれと似たようなもので、この分野ではニコンやキヤノンなど日本企業が圧倒的に強い。P7には40台もの装置があるとのことだが、いずれも日本製という。
ここからはLGディスプレーの最新技術と、それを採用した製品を見ていこう。
CES 2012で発表されて話題を呼んだ、55インチ級の有機ELディスプレー。年内のテレビ製品化に向けて開発中
自発光型の有機ELディスプレーは、液晶ディスプレー以上の薄型化が可能。写真赤枠内の細い板がそれだ
「トリプルビューディスプレー」と呼ばれるこの液晶ディスプレーは、見る角度によって異なる映像を表示できる。写真の人物は同社CEOで、正面近くからはワイシャツ姿、やや横側からはスーツ姿が見えている
ロビーに設置されていた世界最初の100インチのIPS液晶ディスプレー。2007~8年頃のもので、当時はサムスンやシャープ、パナソニックとディスプレー巨大化競争が熾烈に行なわれていた。現在では各社とも大画面化は一段落している
55インチのディスプレーを9枚組み合わせた3Dディスプレー。偏光板方式なので要メガネだが迫力はある
フルHDのディスプレーパネル4枚を組み合わせたサイズの84インチUHD(4K2K)ディスプレー。タッチパネルも搭載して、タッチ操作も可能
IPSパネル(右)と非IPS(方式不明)の明るさの比較。2000nitにも達するIPSパネルは屋外でも明るく、サイネージ分野にも適するというデモ
こちらは大画面ではないが、日本未発売のLG製Ultrabook。日本未発売だが、なぜか名前は「Shuriken」。ディスプレー部分が驚異的に薄い
LGディスプレーの製品でやはり期待されるのは、なんといっても高画質な大画面有機ELディスプレーパネルだろう。当面は主力製品であるLG製大画面テレビでの採用に限られるだろうが、供給能力に余裕が出てくれば、パネルの外販も行なわれると期待できる。テレビはもちろん、PCディスプレーでの採用も期待したい。