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最新パーツ性能チェック 第126回

NVIDIAの自信作「GeForce GTX 690」は、680×2と何が違う?

2012年05月03日 22時01分更新

文● 加藤 勝明

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GTX680とほぼ同スペックの石が2つ

 次に内部の仕様を見ていこう。詳細なスペックは以下の通り、CUDAコア(SP)数やメモリー帯域、メモリー搭載量はGPU2個分がカウントされているが、GTX680をそのまま載せたようなものになっている。

各ビデオカードの比較表
GPU GeForce GTX 690 GeForce GTX 680 GeForce GTX 590 Radeon HD 7970
コードネーム GK104 GK104 GF110 Tahiti
プロセスルール 28nm 28nm 40nm 40nm
DirectX対応 11.1 11.1 11.0 11.1
シェーダ/ストリーミングプロセッサ数 3072基
(1536基×2)
1536基 1024基
(512基×2)
2048基
コアクロック 915MHz 1006MHz 607MHz 925MHz
ブーストクロック 1019MHz 1058MHz - -
メモリクロック 6GHz相当 6GHz相当 3.4GHz相当 5.5GHz相当
メモリ種別 GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5
メモリインターフェイス 512bit 256bit 384bit 384bit
メモリ容量 4GB(2GB×2) 2GB 3GB(1.5GB×2) 3GB
PCI Expressタイプ 3.0 3.0 2.0 3.0
PCI-E電源タイプ 8ピン×2 6ピン×2 8ピン+6ピン 8ピン+6ピン
消費電力 300W 195W 365W 250W

 注目したいのはクロック回りの設定だ。GeForce GTX 580GeForce GTX 590へ発展させた際は、GPUコアもメモリーもGTX580の仕様から若干落としていた。しかしGTX690で落としてあるのはコアクロックのみである点に注目したい。この世代のGPUは余力のあるときに自動オーバークロックする「GPU Boost」機能があるが、GTX690ではコアのベースクロック、およびブースト時最高クロック、いずれもGTX680よりやや下に設定されている。

GPU-ZによるGTX690のステータス

 つまりGTX690はGTX680 SLIのやや下ということになるが、TDPを比較するとGTX680 SLIは合計で390Wなのに対しGTX690は300Wとかなり低い(ちなみにGTX590のTDPは365Wだ)。すなわちGTX690は「現在最速のグラフィック性能を、最も低い消費電力で手に入れられる“単一の”ビデオカード」ということになる。

長さの比較。左からGeForce GTX 680、GeForce GTX 690、Radeon HD 7970

 ちなみに、GTX690では「Framerate Metering」と呼ばれるSLIの新技法も導入されている。2つのGPUが1フレームずつ描画させる場合、片方のGPUの描画負荷だけが重くなると表示の滑らかさが損なわれるが、この技法によりディスプレー出力直前で出力間隔の調整を行なうことで滑らかさを確保するというものだ。

GTX 690の2枚差しによるクアッドSLI構成も可能

 そして気になる価格は999ドル。日本だと8万円前後になりそうだが、GTX680を2枚(約12万円)買うよりも“4万円も”安くなるのも魅力。今の時代こんな高額商品はなかなか買えない……という批判はあろうが、“今のNVIDIAならハイエンドはここまでできる”というアピールのために作られた、まさにレーシングーカー的な立ち位置の製品になっている。

側面のGeForce GTXのロゴは、通電すると光るようになっている

ベンチ環境

 ではテストの前にベンチ環境の紹介をしておこう。今回の検証ポイントは、GTX680シングルよりも、理屈上のスペックで勝るGTX680 SLI環境とどの程度の差が出るかを見たいため、PCI-Expressのx16接続が2系統フルで取れるX79マザーを使うことにした。準備したパーツは次の通りだ。

テスト環境
CPU Intel 「Core i7-3930K」(3.2GHz)
マザーボード ASRock Fatal1ty X79 Professional(X79)
メモリー Corsair CMZ16GX3M4A1600C9(DDR3-1600 4GB×4)
SSD Intel「SSDSC2CW240A3K5」(240GB)
電源ユニット Silverstone「SST-ST1500」(1500W)
CPUクーラー Corsair「CWCH100」
OS Windows7 Professional SP1(64ビット版)
グラフィックドライバー ForceWare 301.33(β版)/Catalyst 12.4

 なお、AMDのハイエンドGPU「Radeon HD 7970」のCrossFireX環境との対決は、テストにかける時間や機材トラブルなどで今回は見送らざるをえなかった。

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