GTX680とほぼ同スペックの石が2つ
次に内部の仕様を見ていこう。詳細なスペックは以下の通り、CUDAコア(SP)数やメモリー帯域、メモリー搭載量はGPU2個分がカウントされているが、GTX680をそのまま載せたようなものになっている。
各ビデオカードの比較表 | ||||
---|---|---|---|---|
GPU | GeForce GTX 690 | GeForce GTX 680 | GeForce GTX 590 | Radeon HD 7970 |
コードネーム | GK104 | GK104 | GF110 | Tahiti |
プロセスルール | 28nm | 28nm | 40nm | 40nm |
DirectX対応 | 11.1 | 11.1 | 11.0 | 11.1 |
シェーダ/ストリーミングプロセッサ数 | 3072基 (1536基×2) |
1536基 | 1024基 (512基×2) |
2048基 |
コアクロック | 915MHz | 1006MHz | 607MHz | 925MHz |
ブーストクロック | 1019MHz | 1058MHz | - | - |
メモリクロック | 6GHz相当 | 6GHz相当 | 3.4GHz相当 | 5.5GHz相当 |
メモリ種別 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 |
メモリインターフェイス | 512bit | 256bit | 384bit | 384bit |
メモリ容量 | 4GB(2GB×2) | 2GB | 3GB(1.5GB×2) | 3GB |
PCI Expressタイプ | 3.0 | 3.0 | 2.0 | 3.0 |
PCI-E電源タイプ | 8ピン×2 | 6ピン×2 | 8ピン+6ピン | 8ピン+6ピン |
消費電力 | 300W | 195W | 365W | 250W |
注目したいのはクロック回りの設定だ。GeForce GTX 580をGeForce GTX 590へ発展させた際は、GPUコアもメモリーもGTX580の仕様から若干落としていた。しかしGTX690で落としてあるのはコアクロックのみである点に注目したい。この世代のGPUは余力のあるときに自動オーバークロックする「GPU Boost」機能があるが、GTX690ではコアのベースクロック、およびブースト時最高クロック、いずれもGTX680よりやや下に設定されている。
つまりGTX690はGTX680 SLIのやや下ということになるが、TDPを比較するとGTX680 SLIは合計で390Wなのに対しGTX690は300Wとかなり低い(ちなみにGTX590のTDPは365Wだ)。すなわちGTX690は「現在最速のグラフィック性能を、最も低い消費電力で手に入れられる“単一の”ビデオカード」ということになる。
ちなみに、GTX690では「Framerate Metering」と呼ばれるSLIの新技法も導入されている。2つのGPUが1フレームずつ描画させる場合、片方のGPUの描画負荷だけが重くなると表示の滑らかさが損なわれるが、この技法によりディスプレー出力直前で出力間隔の調整を行なうことで滑らかさを確保するというものだ。
そして気になる価格は999ドル。日本だと8万円前後になりそうだが、GTX680を2枚(約12万円)買うよりも“4万円も”安くなるのも魅力。今の時代こんな高額商品はなかなか買えない……という批判はあろうが、“今のNVIDIAならハイエンドはここまでできる”というアピールのために作られた、まさにレーシングーカー的な立ち位置の製品になっている。
ベンチ環境
ではテストの前にベンチ環境の紹介をしておこう。今回の検証ポイントは、GTX680シングルよりも、理屈上のスペックで勝るGTX680 SLI環境とどの程度の差が出るかを見たいため、PCI-Expressのx16接続が2系統フルで取れるX79マザーを使うことにした。準備したパーツは次の通りだ。
テスト環境 | |
---|---|
CPU | Intel 「Core i7-3930K」(3.2GHz) |
マザーボード | ASRock Fatal1ty X79 Professional(X79) |
メモリー | Corsair CMZ16GX3M4A1600C9(DDR3-1600 4GB×4) |
SSD | Intel「SSDSC2CW240A3K5」(240GB) |
電源ユニット | Silverstone「SST-ST1500」(1500W) |
CPUクーラー | Corsair「CWCH100」 |
OS | Windows7 Professional SP1(64ビット版) |
グラフィックドライバー | ForceWare 301.33(β版)/Catalyst 12.4 |
なお、AMDのハイエンドGPU「Radeon HD 7970」のCrossFireX環境との対決は、テストにかける時間や機材トラブルなどで今回は見送らざるをえなかった。
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