休止状態からの復帰が7秒以内
ウルトラブックの要件の1つに、休止状態(ハイバネーション)から7秒以内で復帰することが挙げられる。
Windows 7は、メモリーの状態を保持するスリープと、メモリーの情報をHDDやSSDなどのストレージに書き出して、メモリーの電源を切る休止状態(ハイバネーション)をサポートしている。スリープからの復帰時間は、ほとんどのマシンで2、3秒以内と高速だが、休止状態からの復帰は十数秒から数十秒程度かかるのが普通だ。
インテルが開発したIntel Rapid Start Technologyは、メモリーの情報を専用フラッシュメモリーに書き込み、復帰時はそこから読み出すことで、休止状態からの高速復帰を実現する技術だ。Intel Rapid Start Technologyを採用することで、HDDモデルでも7秒以内での休止状態からの復帰が可能になる。
例えば、日本エイサーの「Aspire S3」シリーズは、専用フラッシュメモリーを搭載し、Intel Rapid Start Technologyをサポートしているため、HDD搭載モデルでも休止状態からの高速な復帰を実現している。
ただし、休止状態から7秒以内の復帰はあくまで推奨要件であり、実際には7秒以内での休止状態からの復帰を実現していないウルトラブックもある。休止状態を頻繁に使うのなら、休止状態からの復帰が高速なモデルを選ぶことをお勧めするが、スリープを利用することが多いのなら、どのモデルを選んでも問題はないだろう。
1000米ドル以下のモデルがある
ウルトラブックは、価格についてもラインナップに1000米ドル以下のモデルが用意されているというガイドラインがあるとされている。
例えば、HDD搭載の下位モデルとSSD搭載の上位モデルを用意した場合、下位モデルが1000米ドルを切っていれば、上位モデルは1000米ドルを超えていてもかまわない。日本円に直すと、8万円未満といったところだろうか。
しかし、このガイドラインも厳密なものではなく、実際にはすべてのモデルが8万円を超える価格で販売されている製品もある。ただし、昨年末から2月頃にかけて登場したウルトラブックは、実売価格が少しずつ下がっており、当初よりも2万円程度安くなった製品もある。直販モデルについても、日本HPの13.3型液晶搭載ウルトラブック「HP Folio13-1009TU」のように、販売開始後、直販価格を二度にわたって下げたものもある。
インテルは、2011年8月に3億ドルのウルトラブック基金を創設し、ウルトラブック向けに小さく薄い部品を安く作って業界に提供しようと考えているパーツベンダーなどに資金を提供している。こうした試みにより、ウルトラブックの価格が今後下がることが期待される。
現在販売されているウルトラブックの実売価格は、6万円を切るものから16万円近いものまで幅広い。値段が高いものは、大容量SSDや1600×900ドット液晶を搭載するなど、スペックも充実しているので、予算と目的に応じて製品を選ぶことが重要だ。
また、業務で使う場合など、Office 2010が必要なら、Officeプリインストールモデルを選んだほうが、別途Officeを購入するよりも安く済む。
ここまで紹介した要件が、インテルが規定したウルトラブックのガイドラインである。しかし、重さやストレージなど、まだ言及されていないスペックがある。そこで、それらの項目については、ASCII.jpとしておすすめの目安を示すことにしたい。
ウルトラブックのガイドライン~その2 | ||
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スペック | ASCII.jpおすすめの要件 | |
重量 | 13.3型以下なら1.4kg以下 | ―― |
ストレージ | SSD | ―― |
インターフェース | USB 3.0搭載 | Ivy Bridge世代からは必須 |