いざ、60Daで天体撮影に挑戦!
セッティングが完了したらいよいよ天体撮影に挑戦だ。ゴールデンウィーク中は夜に晴れる日がなかったのだが、5月5日のこどもの日にやっと肉眼で星を眺めることのできる夜がやってきた。
星の写真を撮るならできるだけ郊外のほうがいい。街中の人工光で空が照らされてしまい、星が見えなくなってしまうからだ。
今回は身近な所で、といっても都心から車で1時間以上かかるが、富士山の麓、河口湖まで行ってきた。
最初にいくつかの注意点を。星の写真を撮るときには基本的にRAWで撮影しよう。簡単に撮り直しができるものではないのと、後から画像処理ソフトで調整することにより、より綺麗な星の写真に仕上げることが可能だからだ。
露光時間も基本的には数十秒から数十分といった長時間露光になるため、低感度で撮影してもノイズが発生しやすい。カメラに内蔵されているノイズリダクションを使ってもいいが、RAW現像時に処理したほうが綺麗になる場合も多い。
それと、レンズには必ずフードを装着しよう。できるだけ街灯などの人工光が無い場所を選ぶのは基本中の基本だが、その場にほかの誰かが来ないとは限らない。こちらの都合を考えずに懐中電灯をかざしたり、車のヘッドライトをかざす人などが来てもレンズに直接光が当たらなければ被害は最小限に食い止めることができる。
最近のレンズは内部の乱反射が少なく、性能のいいレンズが多いので、普段は画角外からの光による内部反射やフレアが気にならなくても、真っ暗な星空を撮影している場合には意外にも簡単にフレアが発生しやすい。
ピント合わせはマニュアルフォーカスだ。月くらいに被写体が大きく、明るい場合にはAFで十分にピントが合うが星は無理だ。AFを動作させると無限遠から最短距離を行ったり来たりして被写体を探そうとするが、星くらい小さい淡い光ではAFセンサーは反応できずに無限遠の位置で止まってしまう。
星の位置なんて計り知れない程遠いのだから、無限遠にすればいいじゃん、と思うかもしれないが、実はこの無限遠の位置が大問題で、昔のマニュアルフォーカス時代のレンズはしっかり無限遠のできるレンズもあったのだが、最近のレンズは軒並み無限遠ができない。
要は無限遠を超えてさらに先まで行ってしまうため、ピントリングを目一杯短くなる方向に回しても無限遠にピントが合わない場合が多いのだ。なのでマニュアルフォーカスでライブビュー機能を使用し、拡大率を目一杯上げて手動でピント位置の調整をしよう。
さらに無限遠のピント位置が決まったら、レンズのフォーカス位置がズレないようにピントリングをテープで固定してしまおう。ズームレンズや大きめのレンズでありがちだが、カメラを真上などに向けた場合に自重でレンズが動いてしまう場合がある。注意していても触って動いてしまう可能性もあるので、動かないよう工夫しておこう。ここまで準備したら後はシャッターを切るだけだ。
今回は60Daと60Dで北斗七星がわかるように撮り比べてみた。普通に撮ったときには赤の感度が高かったため、赤くカラーバランスが崩れているのが見てとれたが、今回撮った星空では大きな差は確認できなかった。星雲や星団を拡大して撮れば差が出るのだろうが、正直な所、これくらいの被写体では差がわからない。もっと天の川が見えたりしたら差が出るのかもしれない。
露出は撮りつつプレビューで確認しながら適切な露出値を決めよう。今回は月が明るくて長時間の露光ができず、ISO 100でF8、4分くらいで撮影を行なった。
本当に真っ暗な状態ならかなりの長時間露光をかけても暗い部分は黒いままで星だけが明るく写っていく。30分や1時間くらい露光すれば肉眼では見られない美しい星空を撮影することができるだろう。
ちなみに、5月5日という撮影日に天文に詳しい人ならピンとくるだろう。そう「スーパームーン」だ。通常の満月よりも14%大きく見えて30%も明るい。ちょうど晴れたので綺麗な月が見えたのだが、明るい分星を隠してしまい、せっかく晴れたのだが星があまり見えない状況だったのが残念だ。
そうそう、星を撮る時にはできるだけ月が無い日を選ぶのがいい。