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Google、"リンク表示義務付きテンプレート"のリンクもガイドライン違反と判定

2012年04月28日 07時38分更新

記事提供:SEMリサーチ

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米WebmasterWorldに、Googleからガイドライン違反通知を受けたあるユーザーが興味深い投稿をしている。

内容を紹介すると、彼は数年前にオープンソースのブログソフトウェア・WordPressテンプレート配布のスポンサーをして、そのテンプレートのフッター部分に自分のサイトへ向けた"Designed by [URL]" リンクを含めておいたという。当時はそれほど利用されなかったそうだ。

ところが先日、Googleから再審査リクエストへの返信が来て、そのGoogle担当者が不自然なリンクの具体例を2つ提示してきたそうだ。問題はそのうちの1つで、そのリンクとは先述したWordPressテンプレートに埋め込んだものだったという。調べたところ、そのテンプレートは数多くのサイトに利用されていたのだが、中には不快なサイトや、オリジナルテーマとはかけ離れたデザインに改変された、しかしフッターリンクは残されたままのサイトがあった。

Googleは"we will consider reviewing your reconsideration requests only after we see a significant decrease in the number of inorganic links"(そのリンクの多くを削除することができたら再審査リクエストの内容を審査します)と回答しているのだが、そのテンプレートはすでに遠くの国々のユーザーに利用されてるため、相談者はリンクの取り外しができない状況となっている。

So, now I have a confirmation from G that they do not like these links indeed. Problem is: several of those themes were linking directly to the homepage of the site. In the years past they were picked up by quite a few sites, some very unsavory, sometimes re-designed to look nothing like the original theme (yet the footer links remain). Some of these sites are hosted in faraway lands and I think it's quite obvious I cannot remove them.  [Google wants me to remove links from sponsored WordPress themes, WebmasterWorld, April 25, 2012]

ここで論点を整理してこう。第1に、リンク条件付きの無料配布はガイドライン違反に該当するのかどうか、そして2点目、本件の場合はどうやってリンクを取り外すのか。


著作権表示やリンクバック条件はガイドライン違反に該当するか

1点目。WordPerssやMovableTypeの無料テンプレートに限らず、Creative Common や GPLに則った、あるいはPowerd by... や Designed by... などといった表記を使い、配布元サイトやスポンサー(広告主)サイトへのバックリンクや著作権表示,を条件として、無料利用を許可しているサイトやサービスは少なからずあるわけだが、これらすべてGoogleは問題視しているのか(する可能性はあるのか?)。

こうした方法について過去にGoogleは、その表記やリンクが視覚的に確認できる形で適正に使用・配布されているのであれば"基本的には"問題がないとの回答をしたことがある。ただし、この回答は「配布元の著作権表示であれば」という言外の前提条件があると推定され、スポンサー表示的なものはグレーゾーンに入る。

もともとブログウィジェットやテンプレート、スクリプト配布に乗っかったリンクビルディングというのは比較的正攻法なアプローチとして認識されてきた。なぜなら、こうしたグッズ配布スキームによるリンク効果は、その利用者数に比例するからだ。

つまり、より多くのユーザーにそのテンプレートやスクリプトが利用されるほど、より多くのリンクを獲得できる。つまり、皆に利用されるということはその製品は優れたものであるという証であるのだから、(こうしたスキームで発生したリンクを)Googleは問題視できないはず、という理屈が成り立つからだ。あくまで「コンテンツの価値が認められることでリンクは増える」。

ただ一方で、たとえば本記事で触れているWordPressが普及する米国では、このテンプレート配布スキームのリンクビルディングを悪用したケースも増えるようになった。無料ですばらしいデザインテンプレートが使えるけれども、よーく見ると下の方に大量の、酷いサイトへのリンクがスポンサーという建前のもとに張られているケーズは少なくない。

Google Matt Cutts氏は、(この手の)過度な手法は認めていないと公言しており、また、同社のスタンスにたてば上記の広告表示の場合はnofollow をつけるのが本来の手続きである。今回はやり過ぎと判断されてガイドライン違反の判定となったのだろうか。

まとめると、基本的に、純粋な個人・企業の著作権表示のリンクを表示する分には問題がないはずだが、リンクに(固有名詞ではなく)キーワードをいれたり、あるいはスポンサーを(SEO以外の理由で)つける場合は nofollow をリンクに入れるのが無難ということだろうか。

実はこうした報告事例は日本国内で聞いたことがないので、実態として現在のGoogleはどういったポリシーでこうした方法論を判断しているのかわからない。ただ近年のパンダアップデートペンギンアップデートに代表される、Googleのブラックハット手法撲滅のための検索アルゴリズム更新の動きからわかるように、リンクスパムに厳しい態度をとっているので注意事項として覚えておくとよいだろう。


問題のリンクをどう取り除くべきか?

2点目。リンクを取り外せないということだが、本件の場合は取り外せないという意味が2つある。第1に、どうやってそのテンプレートを利用している人々を探し出し、コンタクトをとり、リンクを確実に外してもらうよう要請するか。第2に、そのテンプレート利用者はWordPressのPHPスクリプトを編集してリンクを外せるのだろうか。

1点目については、(おそらく不適当な理由でサイトを開設していると推定されるので)連絡先メールアドレスもわからず、コンタクトがとれない場合もあるだろう。一方で、本人自体はまじめに運営していて、連絡先情報などを開示しているかもしれない。したがって、(面倒くさいが)連絡先が判明できるものについては連絡してお願いする、わからないものはGoogleに「連絡がとれない以上は外せない」というしかないのだろう。Googleも返信の中で全部外せとは言っていないわけであるし。

2点目。これはWebmasterWorldフォーラムに寄せられたアドバイスで"then try and contact the website owners and notify them of an "update" to the template and how important it is for security reasons to keep their templates up to date"ということでテンプレートを新しいものに置き換えさせるというのが良さそうだ。


「リンクが外せません」の主張を簡単に認めないGoogle

Googleから不適当なリンクがガイドライン違反していると指摘された時に、[a] 発注先のSEO会社が貼り付けた、[b] 不特定多数のブロガーにリンク付き記事を書いてもらった、[c] 別媒体の広告枠で自動的にリンクが埋め込まれる、などの理由で「リンク外せないんです」と伝えても、Googleはその言い分を認めていない模様だ。仮にそんな主張を聞き入れていたら、スパムリンクの抑止力にならないからだろう。通知がくるたびにGoogleにそのリンク無効化をお願いするだけで済むなら、一部のブラックハットSEO会社が好き放題できてしまう。だからリンクが外せないのですというなら、その外せない合理的な理由を説明できなければGoogleは認めないのだろう。


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そういえばYahoo!知恵袋に、SEO会社にリンク外してとお願いしたら600万円かかるといわれたんだけどみたいな相談がありましたね。あれは裁判起こした方が早いんじゃないの。ま、個人的には同情しません。

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