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2012年1〜3月期決算が純利益94%増

アップルの未来と株価はiOSデバイスが決める

2012年04月27日 12時00分更新

文● 鈴木淳也(Junya Suzuki)

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iPhoneとiPadが売れ続ける限り、
快進撃は止まらない

 今回の決算から分かるのは、最近のアップルの好調な業績がほぼすべてiPhoneとiPadの販売に依存しているという点だ。iOS製品はMac製品と比較して台数ベースで桁が1つ違うという点もさることながら、利益率が非常に高いことが大きなポイントとみられる。製品単価でいえばMac製品の半分程度であり、これは台数と売上の比率からも分かる。だが、iOSデバイスの部品コストは低く、製品1台あたりの利幅はMac製品1台と同等か、それ以上の水準だとみられる。ゆえに、iOSデバイスの販売台数が増えることはMacを販売するよりも効率が高く、そのまま利益増加に直結する。

 端末メーカー各社がこぞってスマートフォンやタブレット市場参入を目指すのも、こうしたアップル型の収益モデル構築が狙いだというのは想像に難くない。実際、スマートフォン販売ではアップルに次ぐポジションにあるSamsung Electronicsも、同事業での利益と好調な半導体セールスで会社全体を支えている構図となっており、スマートフォン/タブレットの販売状況が企業の業績に直結する状況にある。

 iPhoneとiPadが売れ続ける限り、アップルの快進撃は止まらないというのが現状だが、一方で同社ならびにCEOのCook氏が直近で対応しなければならないのが株価対策だ。株式配当のスタートと自社株買いプログラムの発表以降(関連記事)、アップル株価はじわじわと下がり始めており、4月初旬につけた1株636ドルの水準をピークに、決算発表直前の24日には560ドルまで下がってしまった。

 だが、決算発表後の時間外取引(After Hours)では、一時10%近く上昇の620ドル近い水準まで回復しており、原稿執筆時点の25日(米国東海岸時間)でも前日比8.5%増の608ドル前後の水準を推移している。好調な業績発表を受けて、一時的に買いが集まったことが理由とみられる。

4月24日決算発表後の時間外取引でのアップル株価(AAPL)。10%近い急上昇を見せている

 アップル株価の推移については無責任な論調が多く、金融アナリストらが800ドルや1000ドルを目標株価に設定して強い買い推奨を出したと思えば、株価が少し停滞した状態になるとWall Street Journalの「Apple Shares Lose Shine(アップル株価が輝きを失う)」といったタイトルの記事が出てきたりと、高値圏に到達して動きが不安定になった株価に対して、外野が騒ぎ立てる構図が出来上がっている。

 ひとつ確実なのは、今回の好調な決算が発表されたことで再びアップル株に注目が集まり、今後しばらくは高値圏での上値を探る動きが続くと予想されることだ。おそらく、次のアップルを占うことになる製品、新型iPhoneが登場すると噂される今年秋まで、こうした動きが続くだろう。その次どうなるかは、現在のアップルの生命線であるiPhoneの次世代製品の出来と、ライバルの動向次第ではないだろうか。


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