Metroスタイル上では、従来のWindowsアプリケーションは動作しない。スタート画面から従来のアプリケーションを起動すると、それはすべてデスクトップ画面側で動作する。Metroスタイルでは、Metroスタイルアプリケーションとして開発されたソフトウェアだけが動作するわけだ。原則としてMetroスタイルアプリケーションは、Windows 8用のアプリケーションストア「Windows Store」からインストールする。例外は自分で開発したアプリケーションと、企業内で使うように作られたアプリケーションだけだ。つまり基本的には、どんなアプリケーションもWindows Storeに登録されない限り、Metroスタイルにインストールできなくなる。
デスクトップとはかなり違う
新しい起動画面「スタート画面」
スタート画面はWindowsのいわばホームページで、起動して最初に表示される部分だ。ここには「タイル」と呼ばれるオブジェクトが配置され、これをタッチ、またはクリックしてプログラムを起動する。Metroアプリケーションでは、アプリケーションがタイルに表示するものを書き換えられるので、アプリケーションの状態や更新情報などを表示できるようになっている。ちなみに従来のデスクトップアプリケーションのタイルは、アプリケーションの名前とアイコンが使われる。
スタート画面には「チャームバー」を表示でき、ここから「検索」「共有」「デバイス」「設定」のチャームを起動することができる。各チャームには独自の画面がある。
このうち検索と共有は、「コントラクト」という仕組みを使う。コントラクトは、あらかじめ用意された検索といった「アクション」に、アプリケーション独自の機能を追加できるようにする仕組みだ。例えば、音楽再生アプリケーションが「検索コントラクト」を使い、再生可能なオーディオファイルだけを検索対象にする、といったことが簡単にできるようになる。チャーム上だけでなく、アプリケーション内からもこの検索機能は利用できる。
また「共有コントラクト」を定義すると、アプリケーションが持つ共有機能をほかのアプリケーションから利用できるようになる(図2)。例えば、メールは共有コントラクトに対応しているため、ほかのアプリケーションが共有コントラクトで提供するテキストや画像などを、メールで送信できる。このほかにもWindows 8には、「リモート再生」「アプリ間選択」「設定」といったコントラクトが定義されている。
Metroスタイルのアプリケーションは、画面を表示している間だけ動作できる。画面がほかのアプリケーションに切り替わると、いつ終了させられてもいい状態にして、スタンバイ状態に入る。OSが何らかの理由でメモリーを必要とした時には、スタンバイ状態のMetroスタイルアプリケーションを強制終了することがある。こうした挙動は、デスクトップアプリケーションではなかったことだ。
なおMetro側から見た場合、デスクトップはひとつのMetroアプリケーションのような扱いとなる。デスクトップ画面はひとつだけで、Metroアプリケーション側のタスクマネージャでは、デスクトップ全体をまとめて扱う。個々のアプリケーションは個別に扱われない。
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