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ベンチャーと企業・自治体の接点に

インテルがユーザー体験のデモ施設をつくば本社に設置

2012年04月13日 18時29分更新

文● ASCII.jp編集部

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つくば本社屋内に開設されたヒューマン・インタラクティブ・テクノロジー・アプリケーション・センター」

 インテルは13日、茨城県つくば市にある同社本社内に、「ヒューマン・インタラクティブ・テクノロジー・アプリケーション・センター」を開設した。インテルや各企業が持つ技術を展示し、他企業の開発者とのコラボレーションの場にするほかに、ICTの利活用を進める自治体や教育機関などへのデモンストレーションの場として活用するという。

センターが開設されたインテル つくば本社

 13日には報道関係者向けの内覧会が開催され、同社代表取締役社長の吉田和正氏らによる、センター開設の意義と目標の説明やスタート段階での展示が披露された。

インテル代表取締役社長の吉田和正氏

 2011年の同センターの開設は、2011年3月の東日本大震災により被災したつくば本社の再建の中で進められたという。吉田氏はセンター開設の理由について、IT技術の進化が人々に不安を呼び込まないように、技術を検証する場が必要であると述べる。IT技術が進化する中で、「技術が進みすぎることへの不安」を訴える人の声を聞くことが増えてきたと述べる吉田氏は、こうした不安感を解消するには、IT技術に関わるさまざまなプレイヤーがコラボレーションする場が必要であるとして、同センターをそうした場として活用してもらうとしている。また、インテルや開発企業からは出てこない視点や意見を、来場者から寄せてもらうことで、よりよい製品開発に生かすという点も目的のひとつとなっている。

同センターが目指すコンセプト

 同センターはいわゆる「インテルのラボ」の成果物を展示する場ではなく、現在展示されている展示物は、いずれもパートナー企業やインテルの技術をベースにした製品やそれに近い出展物によるデモである。近未来の技術というよりも、今ある製品やそれに近い技術をいかにしてユーザー体験を高める方向に磨き上げるか、そのための意見やアイデアをぶつけ合う場としての活用を目指している。いくつかの展示物を紹介しよう。

パイオニアソリューションズの製品「ディスカッションテーブル」。WindowsベースのPCが内蔵された大型マルチタッチディスプレーを備えたテーブルで、画面に表示されるコンテンツをタッチ操作で簡単に表示したり、手書き情報を書き込んだり、テーブル内の情報をスマートフォンと相互に転送するといった機能を備える

光学式のマルチタッチセンサーにより、複数人が同時に盤面に表示された情報を扱える。画像に手書きで書き込んだりも容易

側面にはスキャナーを装備し、紙資料や名刺をデータ化して扱うこともできる

オンキヨーの協力によるLED電球とワイヤレススピーカーを組み合わせた製品「サウンドブライト」のデモ。左の照明内部にLED電球があり、ソケット部分にスピーカーが内蔵されている

こちらはUSB接続での電力供給で動作するデジタルスピーカーシステムのデモ、低消費電力のマルチコイルスピーカーとDSPを組み合わせることで、アンプやD/Aコンバーター、外部電源供給を使うことなくパソコンとUSB接続するだけで再生できる

スウェーデンのトビー・テクノロジー社の視線追跡技術を利用したユーザーインターフェースデモ。ユーザーの目線の動きを追尾してゲームを動かしている

タブレット端末を使った「IP告知システム」。自治体から各家庭に、シンプルなメッセージを配信するほか、受信状況も確認できる。災害時などの緊急情報告知に役立ちそうだ

こちらはタブレット端末を使った、テレビ表示とSNSを組み合わせた「TVリンク」のコンセプトデモ。同種のソリューションはすでに家電メーカー各社が取り組んでいるなど、今後のトレンドになるだろう

デジタルサイネージ機能を持つ自動販売機。vPro対応のPC機能を内蔵して遠隔管理が行なえるほか、カメラも搭載して購入者の属性(性別・年齢)と商品情報を紐付け、マーケティングやプロモーションに活用できる情報を集めることも可能

技術のデモではないが、片隅に置かれていた直径450mmサイズのウェハーの見本(左)。右の一般的な300mmウェハーと比べると、その巨大さがわかる

 なお同センターの利用や見学を希望する際は、インテルの営業や広報部門を通じての申し込みになるとのことで、手軽に利用できる手段はまだ整備されていない。その意味では、既存のパートナー企業やコネのある自治体・教育機関以外には、ややハードルが高いのは残念だ。今後の改正に期待したい。

 内覧会の終了後、センター開設の意義について吉田氏は、若いベンチャー起業家が開発している製品やサービスを、公開したり他社とのコラボレーションする場としたいとの思いを披露した。日本からも新しいウェブサービスを開発して一旗揚げようとする若い起業家は続々と生まれていて、彼らにチャンスを提供する場になればということのようだ。

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