かけてみた印象も、JINS PCとZoff PCではだいぶ異なる。 JINS PCは確かに青系統が若干やわらかくなり、結果として白が見やすくなる。仕事中に1日ずっとかけていても、目の疲れが確かに少ないと感じた。ブラウンのカラーレンズではあるが、それによる変色はごく少ない印象だ。
フレームも軽く、メガネをかけなれていない人でも、違和感は短時間で解消されるだろう。ただし、レンズが縦に短い形状なので、視野にフレームがはいってくる点は、この種のメガネに慣れていない人にはつらいかもしれない(筆者はこのタイプのフレームももっているので、特に問題を感じない)。
Zoff PCはこれとだいぶ違う。かけた瞬間、視界がちょっと茶色く感じるほど色が変わる。少なくとも、これをつけたまま写真の色調整をするのはやめたほうがいい。だが人間の慣れはたいしたもので、10分もすれば「こんなものか」と思うようになる。事務作業であれば、特に違和感なくこなせるはずだ。他方で、外した時の外界の「白さ」には毎度びっくりさせられる。
目への負担という点では、Zoff PCの方がJINS PCよりも、負担が軽くなっている印象が大きい。面白いことにZoff PCの場合、かける前よりバックライト輝度を少し下げた方が見やすくなる。メインで使っているMacBook Proは16段階の輝度調整が可能だが、Zoff PCでは2段階(すなわち8分の1)下げた方が見やすくなった。輝度が下がる分、目への負担も少なくなっている可能性が高い。それに対しJINS PCの方は、輝度を変えたいという印象はなかった。
幾人かに両者をかけ比べてもらったが、「Zoffは色が変わりすぎる。JINSは違和感がない」「Zoffはコントラストが良くなる印象。JINSはあまり変わらないけれど、見やすくはなった」「Zoffは文字向け。JINSは全般に向く」といったコメントが得られた。もちろん、人によって効果は違うだろう。また、まだかけはじめて1週間程度なので、本当に大きな効果があるかもわからない。今回テストしたものの場合、Zoff PCのみ度入りであった点も考慮すべきだ。
筆者としては「自宅で仕事中にだけ使う」という前提ならば、Zoff PCの方が効果が高いと感じた。だが、あれをかけたまま人前にはあまり出たくない。その点、JINS PCは違和感がないし、それでいて効果も体感できた。コストの点を見ても、両者の差は大きい。
率直に言えば、もっと両者には差がないものと思って買ってみたのだが、商品設計の違いは明確だ。自分の生活スタイルに合うのはどちらか、よく考えて選択してほしい。なお、筆者と同時期にZoff PCを購入したライターの山口真弘氏は、こんな感想を残している。
「疲れた際に目がアラートを出さなくなったので、仕事をしすぎて肩がアラートを出すようになった気が」
なるほど納得。あちらが立てばこちらが立たず……。
■Amazon.co.jpで購入
筆者紹介─西田 宗千佳
1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「iPad vs.キンドル」(エンターブレイン)、「メイドインジャパンとiPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電」(朝日新聞出版)、「知らないとヤバイ! クラウドとプラットフォームでいま何が起きているのか?」(共著、徳間書店)。「電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「災害時ケータイ&ネット活用BOOK」(共著、朝日新聞出版)、「形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組」(エンターブレイン)、「リアルタイムレポート デジタル教科書のゆくえ」(TAC出版)。最新刊は「スマートテレビ スマートフォン、タブレットの次の戦場」(4月10日発売予定、アスキー・メディアワークス)