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Microsoftが若きエンジニアをサポートする理由 第1回

Googleマップ上で、みんなの盛り上がり度が分かる「気持ちボタン」

起業で世界とつながりたい──Crisp佐貫氏

2012年03月30日 11時00分更新

文● 編集部、語り●佐貫 僚、遠藤 諭、写真●小林 伸

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無料で使えるクラウド環境が魅力、日本マイクロソフトの支援プログラム

遠藤 「佐貫さんの会社Crispでは、日本マイクロソフトの支援プログラムを活用しているという話ですが、昨年僕の知り合いも起業をして、どうすんの?って話をこないだもしたばかりなんです。だから、こういう取り組みはすごくいいと思うんですよね。そもそも日本マイクロソフトさんと関係ができたきっかけは何ですか?」

佐貫 「そうですね。会社を始めるに当たって色々と調べたんですが、その中で日本マイクロソフトがMOVIDA JAPANと協業して始めた“Startup Cloud”という施策があることを知ったんです。どんなものか分からないけど、まずは扉を叩いてみようと。

 気持ちボタンは、特性上、瞬間風速的にアクセスが跳ねうるサービスなので、クラウドが適していますし、最初はその……サーバ(Windows Azureを使用したクラウド環境)を無料で使わせていただけるというのがすごくいいなあと思って。で、話をしていくうちに『気持ちボタン』についても色々とアイデアをもらいました。ここが使いにくいとか、ユーザーインターフェースはこういう風にしたほうがいいとかそういうフィードバックも下さって。頼もしいというか、両方が前のめりになる感じでプロジェクトを進められましたね」

遠藤 「オフィスはどこにあるんですか?」

佐貫 「虎ノ門に月3万円のシェアオフィスを借りて、そこでやってます。ベンチャーとかデザイナーの人は、渋谷に行く人が多いんですが、敢えてそこははずして虎ノ門にしました。インターネット系の企業は私以外1社しかないんですが。あとは自治体とか、町おこし的な団体がいたりして。ちょっと違う空気が味わえるというか、ひょっとしたら一緒に組んで何かできるかもしれない。空気も穏やかで、そういう雰囲気もいいんじゃないかなと思います」

── 開発体制とかについてはいかがですか?

佐貫 「今回使ったのはHTML5とJavaScript、それとPHPですね。スマホ版の開発にはObjective-CとJavaを使っています。各言語、覚えていくのは大変ですが、極力そのプラットフォームの言語で開発したいと思っています。Android版も考えていますが、今のところ手が回っていないという感じです」

── 毎月1回ミーティングするとか密に話されているそうですが、特にマイクロソフトのツールを使っているというわけではないんですね。

佐貫 「Microsoft Visual StudioやSQL Server Management Studioを使っているほか、バックエンドでWindows Azureを使ってますね。Azureの上でPHPを動かしたりしています」

IT業界はいまとても面白い

── 逆に佐貫さんのほうから聞きたいことがあれば。

佐貫 「長く業界を見てきて、今のコンピュータ業界とか最近コンピュータ業界に入ってくる人たちを見てどんな風に思っているかには興味がありますね」

遠藤 「やっぱり、うらやましいよね。劇的に時代が変わっているタイミングだから。簡単に言うと、iPhoneが出てきて業界がとても面白くなった。ちょっと前まではインターネットはGoogleとAmazonに全部やられてしまうみたいな空気もあったわけですよ。

 クラウドとソーシャルとスマートフォンが出てきて、これが大きく変わった。だから今はやりどきだと思うんですよね。デジタルクリエーションをやるってことの社会的な位置付けも上がりつつある。アメリカはすでに高いですけどね。『ソーシャルネットワーク』って映画はその象徴というか、あれは階級闘争の映画なんですよ。

 ハーバード大学のボート部で、体力もあって頭も切れる双子のエスタブリッシュの代表みたいな奴らをナードの代表で、学費もおぼつかない主人公が倒しちゃう。ある種『蟹工船』と同じような構造の世界。

 『アバター』もネットワーク化した社会を象徴する映画だったし、『ナンバーズ』みたいに数学者が主人公のドラマが視聴率でベスト3に入るなんて日本じゃ考えられない。こういう動きは、2年くらいずれてでいいから日本にもやってきてほしいと思う」

── 確かにこの5年のIT業界は、その前の10年に比べて大きく変わりましたよね。

遠藤 「そういえば。事前に佐貫さんにお送りしておいた質問の中に、起業は自己表現や自己実現の手段だと思うので、その動機を聞いてくださいっていうものがあった。それと夢は? 人生において何をしたいかっていうのもありましたけど」

佐貫 「この夢のない時代になかなか難しい質問だと思います。社会も市場も厳しい状況だけど、なんとかして食べていかなければならない。そこは大前提だと思います。自分でプランを立て、コードを書いても、それがどこまで大きなビジネスになるかどうかは、トコトンやってみないと分からない面もある。とはいえ、やってみて気付いたのは、もともと社会学者になろうと思ったときに立てた問題、『世界の人とつながるために何ができるか』ってこと。完全な形じゃないかもしれないけど、それに近付いているんじゃないかって思います」

佐貫 僚(さぬき つかさ)

 株式会社Crisp 代表取締役。2007年東京大学大学院 人文社会系研究科修了(社会学)。外資系コンサルティング会社で、通信/IT・電機・小売・旅行・航空・総合商社において、事業戦略・マーケティング・サプライチェーン・組織/業務改革・システム要件定義プロジェクトに従事。2011年外資系ベンチャーに入社。調達マネジャー・社長室長としてインターネット通販サイトの立ち上げに参画。同年10月にCrispを起業し、スマートフォンを起点としたウェブサービスの企画開発に携わっている。

 Twitterアカウント:@dongchuang

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