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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第89回

日本生まれの初音ミク、アメリカ育ちのヒップホップ【後編】

2012年03月24日 12時00分更新

文● 四本淑三

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ボーカロイド版“Pitchfork”があっていい

―― それが聴き手もゲームの参加者だ、ということだと思うんですが、「Pitchfork」みたいなものがいくつもあるとか?

ピッチフォーク。アメリカのシカゴを拠点とする音楽レビューサイト。アンダーグラウンドなインディーロックを細かくフォロー。

PitchFork

大和田 何か新しいものが出てくると、どこからともなくレビューサイトが出てきて、そのレビューサイトを面白がっている人もどんどん盛り上がって、それがコンペティションの一部にもなっているわけですよね。Pitchforkも一大メディアになっていますけど、あそこが面白いのはロックに関してはメジャーなものを取り上げないけど、ヒップホップに関してはメジャーなものを取り上げる。pitchfork的な価値観で言うと、テイラー・スウィフトはダメだけどリル・ウェインはオッケーなんですよ。

―― 売れているものの評価が高いという話(前回)ですよね。日本でヒップホップをレビューするサイトはどうなんですか?

大和田 あるんですけど数は少ないかもしれません。あと日本語でしょ。そういう意味ではアメリカは強いですよね。英語を使う人口は多いし。

長谷川 ヒップホップ自体がアメリカという国のフォーマットに乗っかってるところはあります。あそこは国自体がコンペティティブだから。

大和田 でも、日本語の人口はそんなに多くない。それでコンペティティブな状況をどう作るかということなんです。ここ10年20年、関西のお笑いが日本を席巻しているじゃないですか。あれくらいのインパクトが欲しいところなんですけどね。

―― 日本で場としてコンペティティブだったのは「2ちゃんねる」くらいですもんね。

大和田 ははは。そうですね。

長谷川 ボーカロイド版Pitchforkみたいなのをアスキーがやるといいんですよ、批評サイトを。

―― そうですねぇ。それに海外向けに英語版が必要だって言ってるんですけどね。

大和田 経験が浮上してくると批評って衰退していくんですよね。経験というのは一人ひとり固有のものであって「俺の経験にお前イチャモン付けるな」ということになる。でも「お前は全然分かってねえ!」と言い合える状況を誰かが作らなければならない。それで色々叩かれつつ、皆で盛り上がっていくと思うんですよね。

長谷川 そうやっていく中で批評基準はできていくんですよ。

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