ボーカロイド版“Pitchfork”があっていい
―― それが聴き手もゲームの参加者だ、ということだと思うんですが、「Pitchfork」※みたいなものがいくつもあるとか?
※ ピッチフォーク。アメリカのシカゴを拠点とする音楽レビューサイト。アンダーグラウンドなインディーロックを細かくフォロー。
大和田 何か新しいものが出てくると、どこからともなくレビューサイトが出てきて、そのレビューサイトを面白がっている人もどんどん盛り上がって、それがコンペティションの一部にもなっているわけですよね。Pitchforkも一大メディアになっていますけど、あそこが面白いのはロックに関してはメジャーなものを取り上げないけど、ヒップホップに関してはメジャーなものを取り上げる。pitchfork的な価値観で言うと、テイラー・スウィフトはダメだけどリル・ウェインはオッケーなんですよ。
―― 売れているものの評価が高いという話(前回)ですよね。日本でヒップホップをレビューするサイトはどうなんですか?
大和田 あるんですけど数は少ないかもしれません。あと日本語でしょ。そういう意味ではアメリカは強いですよね。英語を使う人口は多いし。
長谷川 ヒップホップ自体がアメリカという国のフォーマットに乗っかってるところはあります。あそこは国自体がコンペティティブだから。
大和田 でも、日本語の人口はそんなに多くない。それでコンペティティブな状況をどう作るかということなんです。ここ10年20年、関西のお笑いが日本を席巻しているじゃないですか。あれくらいのインパクトが欲しいところなんですけどね。
―― 日本で場としてコンペティティブだったのは「2ちゃんねる」くらいですもんね。
大和田 ははは。そうですね。
長谷川 ボーカロイド版Pitchforkみたいなのをアスキーがやるといいんですよ、批評サイトを。
―― そうですねぇ。それに海外向けに英語版が必要だって言ってるんですけどね。
大和田 経験が浮上してくると批評って衰退していくんですよね。経験というのは一人ひとり固有のものであって「俺の経験にお前イチャモン付けるな」ということになる。でも「お前は全然分かってねえ!」と言い合える状況を誰かが作らなければならない。それで色々叩かれつつ、皆で盛り上がっていくと思うんですよね。
長谷川 そうやっていく中で批評基準はできていくんですよ。
この連載の記事
-
第164回
トピックス
より真空管らしい音になるーーNutubeの特性と開発者の制御に迫る -
第163回
トピックス
超小型ヘッドアンプ「MV50」のCLEANは21世紀の再発明だった -
第162回
トピックス
欲しい音を出すため――極小ヘッドアンプ「MV50」音色設定に見る秘密 -
第161回
トピックス
最大出力50Wのヘッドアンプ「MV50」は自宅やバンドで使えるのか? -
第160回
トピックス
新型真空管「Nutube」搭載ヘッドアンプのサウンドはなにが違う? -
第159回
トピックス
開発で大喧嘩、新型真空管「Nutube」搭載超小型ヘッドアンプ「MV50」のこだわりを聞く -
第158回
トピックス
唯一無二の音、日本人製作家の最高ギターを販売店はどう見る? -
第157回
トピックス
「レッド・スペシャルにないものを」日本人製作家が作った最高のギター -
第156回
トピックス
QUEENブライアン・メイのギターを日本人製作家が作るまで -
第155回
トピックス
QUEENブライアン・メイのギターは常識破りの連続だった -
第154回
トピックス
てあしくちびるは日本の音楽シーンを打破する先端的ポップだ - この連載の一覧へ