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渡辺由美子の「誰がためにアニメは生まれる」第25回

「まどマギ」「タイバニ」テレビ局から見たヒットの背景【前編】

2012年03月19日 12時00分更新

文● 渡辺由美子(@watanabe_yumiko

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計算した偶然で“食わず嫌い”をなくさせる

―― こう言っては何ですが、作り手の情熱が高くても、その情熱がお客さんに伝わるとは限らないですよね。

丸山 はい。ひとつはタイミングもあると思うんですよ。アニメの新番組は、4月/7月/10月/1月といった改編期ごとに始まりますけど、その時にたまたまタイミングが悪くて見てもらえないことがある。同じ時期に、他局さんと同じようなジャンルがかぶることも当然ありますし、たとえば週に4本アニメを見ている人がいたとして、その期にすごく面白い作品が4本あったら、次点だった5本目の作品を見なくなってしまう。実はその5本目が後ですごくいい展開を迎えたり……ということもあったりする。

 熱意を込めて作ったものでも、タイミングの運命性と言いますか、人に届くまでの間には予想しきれない巡り合わせみたいなものがどうしても発生してしまう。でも逆に言えば、そこに「テレビで放映する意味」があると思うんです。

「人に届くまでの間にある予想しきれない巡り合わせ」がテレビの魅力という丸山氏。検索すれば一発で結果が出てくるインターネットとは“出会い”のプロセスが圧倒的に異なる

―― タイミングとテレビで放映することには、どんな関係があるのでしょうか。

丸山 テレビはインターネットと比べると受動的なメディアと言われていますよね。ネットは積極的に自分でアクセスしにいくものですけど、テレビは「なんとなく」で偶然見てくれることがある。そこがテレビの今いるポジションの妙だと思うんですね。その時間にテレビさえつけていたら生で観てくれる。見る理由は偶然かもしれない。たまたまリモコンが見当たらなかったからチャンネルをそのままにしたとか、大好きな番組が終わったら流れで次の番組が始まったとか。スルーしていた番組でも、あるとき偶然観る機会があって、「あれ? これって意外と面白い」みたいなことが起こったりする。

 僕は“食わず嫌い”って呼んでいるんですけど、人は、自分の好みかどうかわからないものを自分からは積極的に見なかったりします。でもテレビという偶発性のある媒体を通じてなら、食わず嫌いな作品が偶然の出会いにより、お客さんに一度、味を見ていただくことができるかもしれないんです。

 テレビで連続で放送することによって、“出会いを創出する”ことができたらいいなと思うんです。それが今、テレビ局がアニメを放送している価値であり使命というか役割なんじゃないかなと。


―― なるほど。連載の中で、Webアニメ「放課後のプレアデス」を制作したスバル自動車さんにお話をうかがったのですが(関連記事)、インターネットというのはお客さんが積極的に見に行くメディアで、受動メディアであるテレビとその点が違うということだったんですね。テレビ側のメリットが、先ほどのお話で明確になりました。

丸山 そうなんですよ。偶然のタイミングを“出会い”ととらえるのがテレビの役割で。テレビ的に言えば、番組同士の組み合わせ――「編成」というのは大事なんです。

 僕はアニメ担当になってある時期から、毛色の違う作品同士をあえて交互に編成することを意識しました。深夜番組枠が4つあるとしたら、その4段編成で男性向け、女性向けと、交互にやってみたり。一般的な考え方としては、同じ傾向の作品を固めて編成するほうが、お客さんの層が同じだから相乗効果が高いと言われていますけれども、そこをあえてシャッフルして。


―― それはなぜですか?

丸山 “食わず嫌い”の話で言うと、男性のアニメファンが、女性ファンが多そうな作品を意外に見てくれたり、その逆もあったりするんです。最近では、「TIGER & BUNNY」(タイバニ)が、女性からの反響が大きくて驚きました。

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