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ニコニコ動画のキャッシュで利用したドワンゴは9ラックを4ラックへ

Fusion-io、爆速・低遅延に磨きをかけたioDrive2国内投入

2012年03月14日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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3月13日、超高速ストレージメモリ「ioDrive」を手がける米Fusion-io CEO兼創業者デイビッド・フリン氏が来日し、製品戦略についての講演を行なった。また、最大容量2.4TBの新製品「ioDrive2/ioDrive2 Duo」を投入した。

CPUに処理対象データを近づける

 2006年に設立されたFusion-ioはエンタープライズ向けの超高速ストレージメモリであるioDriveを開発・販売するベンダー。NANDフラッシュとコントローラーを搭載したioDriveをPCI-Expressに直結することで、データをストレージではなく、実際の処理を行なうCPUに近づけることが可能になる。これにより大幅なI/Oの改善、低遅延を実現。読み出し1.5GB/sを叩きだし、業界を震撼させたのも記憶に新しい。

 直販のほか、デル、HP、IBMなど有力サーバーベンダーへのOEM供給を行なっており、データセンターやHPC(High Performance Computing)市場で高い人気を誇っている。日本法人も2009年に設立されており、東京エレクトロンが国内での販売代理店を務めている。

 記者発表会で講演したFusion-ioの創業者の1人である会長兼最高経営責任者 デイビッド・フリン氏は、まずFacebookやiCloudのユーザー数や10億から500億へ拡大するリモート接続の伸びについて言及。これを支えるデータセンターは今後サーバーの利用効率を大幅に向上させる必要があるが、メモリやストレージが足を引っ張っていると指摘する。

米Fusion-io 会長兼最高経営責任者 デイビッド・フリン氏

 フリン氏は、「CPUに比べ、メモリとストレージは大きなパフォーマンスギャップがある。CPUは処理するものがないために有休状態になっている。メモリはデータを扱うには小さすぎ、ディスクは提供のスピードが遅すぎる」という技術動向を説明。この問題を解消すべく開発したFusion-ioのioDriveについてフリン氏は、「メモリより大容量で、ディスクより速い。CPUに見合った処理ができる新しいストレージ。サーバーにこれまで以上に仕事ができるようにし、サーバー自体を大幅に減らすことにつながる」(フリン氏)とアピールする。同社の試算では今まで1.25兆ドル(約96兆円)かかっていたデータセンターの年間コストを、2640億ドル(約20兆円)にまで削減できるという。

 今回発表されたioDrive2は最大1.2TB、ioDriveⅡ Duoは最大2.4TBをサポートした新製品。ioDriveと同じく、PCI Express 2.0(x4/x8)での直結が可能で、コントローラーのソフトウェア改良により、15マイクロ秒という低遅延、リードで85万IOPS、ライトで90万IOPSという対称アクセス速度を実現した。以前と同じく、チップレベルの自己修復を行なうAdaptive FlashBackなども搭載し、高い耐障害性も実現している。

ioDrive2 Duoでは、2.4TBの容量、15マイクロ秒という低遅延を実現

 製品はMLCとSLCのモデルが用意され、当初はMLCの785GB、1205GB、2.4TBのラインナップが提供される。微細化を進めたNANDフラッシュを採用することで、容量あたりのコストパフォーマンスを高めた。「NANDフラッシュの高密度化・低価格化は実現されたが、性能や信頼性はむしろ落ちている」とのことだが、複数のチップでデータを分散処理させ、コントローラー側のソフトウェアで性能や信頼性を補っている。この結果、以前のioDriveより高いスペックを実現しつつ、約3割程度の低価格化が図られているとのことだ。

サーバー台数を大幅に削減したニコ動の事例も

ドワンゴ ニコニコ事業本部企画開発部 佐藤哲也氏

 また、記者発表会の後半ではドワンゴのニコニコ事業本部企画開発部の佐藤哲也氏がFusion-ioのユーザーとして講演した。同社は単なるデータベースのキャッシュではなく、動画配信のキャッシュサーバーでfusion-io製品を活用しているという。これにより、1Uサーバー200台、1600台のHDDが、2Uサーバー50台で済み、HDDは完全になくなったという。ラックも9ラックから4ラックに削減しており、まさにFusion-ioが主張するデータセンターでのサーバー削減効果を実証する結果となった。

ニコニコ動画での導入効果

 国内販売代理店の東京エレクトロンデバイスでは、Fusion-ioのビジネスについて、当初目標を大幅に上回る売り上げを達成したと報告。今後も国内メーカーへのOEM供給やリセールを中心に進め、サポートや品質保証、コンサルテーションなどを充実させるという。

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