iWorkとiLifeのパワーアップ
スペシャルイベント最後は新型iPadの特徴を活かしたアプリの紹介だ。サードパーティからは、バンダイナムコゲームスの「Sky Gamblers: Air Supremacy」、Autodeskの「Sketchbook Ink」、Epic Gamesの「Infinity Blade: Dungeons」が紹介された。どれもエフェクトやディテールなどの面でA5XとRetinaを活用したアプリとなっており、実際に従来のiPadと新型iPadでどの程度の差があるのか気になるところだ。どれも3~4月をめどに提供開始されるとみられるので、気になるユーザーは実際に触れてみてほしい。
AppleからはiWorkとiLifeのアップデートが発表されている。iOS版ではスイートではなく、個別のアプリとしてそれぞれ9.99ドル(850円)/4.99ドル(450円)で販売されているiWorkとiLifeだが、今回の新型iPad発表のタイミングでいっせいにアップデートされている。iWorkは新しいアニメーションやグラフ、トランジションなどが追加され、Retinaに対応した。価格はアプリごとに9.99ドルのままで、既存ユーザーは無償でそのままアップデートできる。
iLifeについてはGarageBandが機能強化され、特に新機能の「Jam Session」がフィーチャーされた。Jam Sessionは、最大4台のiPadが同時にWi-Fi経由で演奏セッションができる機能。演奏はパートごとに記録され、レコーディングもできる。リアルな楽器がなくても簡易バンドを組めるお手軽なツールだ。iMovieはUIが一新されたほか、Retinaや新プロセッサ、新カメラの恩恵を受けて機能が大幅強化されており、デモではテンプレートに沿って映画風のトレーラーを簡単に作成できる例が紹介されていた。この2つのアプリも発表同日より提供が開始され、既存ユーザーも利用が可能になっている。
だが今回、新たにiLifeの3つ目のピースとして「iPhoto」アプリが発表された。マルチタッチ操作で簡単に各種のエフェクトや画質調整ができるほか、キーボードやマウスがなくても自動で写真を抽出できる整理機能など、iPad向けに最適化されたものとなった。またiPhotoでは「Journal」と呼ぶアルバム作成機能も追加された。簡単な編集でビジュアル豊かなアルバムを作成し、iCloudにアップロードし、Web上に公開もできる。価格は4.99ドル(450円)。
なお、地味なことではあるが、今回の発表のタイミングでiOSのダウンロード制限が緩和されているという嬉しいニュースがある。従来まで、3G経由でのダウンロード可能なアプリの容量上限は20MBまでだったが、これが50MBまで引き上げられたのだ。
理由の1つはいうまでもなくRetina対応によるアプリの大容量化だろう。この微妙なサイズ制限で悩まされていたデベロッパーらには朗報だ。特に20MBの容量を超えるとWi-Fi接続をしなければならなくなるため、アプリのダウンロード比率が極端に下がってしまう。そのため、可能な限り20MB以内にサイズを収めるような工夫が続けられてきたからだ。特に画像を多用するツールやゲーム等では大きいだろう。
★
ダイジェストと言いつつ少々長めとなったレポートだが、いかがだったろうか? Cook氏は冒頭の挨拶と最後の締めの話で「ポストPCのデバイスと、そのイノベーションはAppleが牽引してきた。それは今までもそうだし、これからもそうだ。ライバルはいまだその段階に達していない。Appleが作り上げたこのイノベーションを新製品で再定義するのもまたAppleなのだ」と述べ、自分の最大の敵は自分であると言わんばかりの姿勢を崩さない。この自信を裏付けるのが昨今の好調な業績というわけだ。
同氏は最後に「このイノベーションは今年もまだまだ続く。ユーザーの方々にはぜひ期待してお待ちいただきたい」と述べ、今回のイベントを締めくくった。