キーボードや光学ドライブ周りの仕様は、旧機種と大きく変わっていない。旧機種ユーザーならば、そのままスムーズに移行できるはずだ。だが実際には、かなり細かく改善が加えられている。
キーボードのデザインは、Jシリーズより導入された「リーフトップ形状」となり、従来よりもタッチ感が良くなっている。最近の薄型ノートのキーボードは、打鍵音が大きめであるものが多い印象だが、SX1のキーボードは打鍵音が小さく、周りに迷惑をかけにくい。キー配列という意味で面白いのは、BackSpaceキーとFnキーを併用するとCtrl+Alt+Delキーの同時押しと同じ機能になる、という点だ。
右側のFnキーと組み合わせると、右手だけでCtrl+Alt+Delが押せる。個人向けの用途だと押す機会は少ないが、企業用途ではログオン時にCtrl+Alt+Delを押すことが多い。こういったシーンでの手間を減らすための施策と思われる。
円形のタッチパッドも従来通り継承している。操作感もいままで通りだ。筆者としては、この狭いタッチパッドはあまり好きではない。多くの個人向け機種で、タッチパッドがマルチタッチ化・大型化していることを考えると、筆者の好みも決してマイナーなものではないと思う。だが、円形タッチパッドによるスクロール操作など、この形態ゆえの美点はあり、好みの範疇といえる。マルチタッチを謳いつつ、いまひとつな操作感のタッチパッドよりは、確実に快適な動作が得られるこちらの方が、ずっと快適なのも事実だ。
高解像度ディスプレーに2つのACアダプター
商品企画の妙
先に述べたように、SX1はCPUにCore i5-2540Mを採用している。そのため、パフォーマンスの面では申し分ない。ビジネス系の用途であれば、CPU負荷が高まるタイミングすら少ないはずだ。Windowsエクスペリエンスインデックスは「4.4」。最低値は「グラフィックス」という、いつものパターンである。
今回テストしたモデルは、ストレージに500GBのHDDを採用したモデルなので、SSD搭載モデルに比べると速度の点で不利ではある。だがその場合には、SSD搭載の「CF-SX1GETDR」も用意されている。HDD搭載モデルは、むしろ容量を必要としている人が積極的に選ぶべきモデル、といえるだろう。
スペックの点で特筆すべきなのは、この製品が12.1型でありながら、1600×900ドットという解像度の高いディスプレーを搭載しているという点だろう。このところモバイルノートは薄型化・低価格化が中心になっていたので、ディスプレー解像度も1366×768ドットのものがほとんどだった。SX1はこれよりも一回り広くなる。解像度の大きさは作業効率に大きく影響する、と考える人も多いはずだ。スペック重視でパソコンを選ぶなら、確かに1366×768ドットでは不満があり、SX1の方向性は正しい。
CPU性能が高めであるため、放熱量も同様に高めだ。アイドル時にはそう気にならないが、フルパワーで動かすと、発熱源がまとまっている本体左側に強い発熱を感じる。その際には放熱用のファンも激しく動作するので、風切り音も目立つ。
他方で、すでに述べたようにビジネスアプリケーションの動作では、そうそうフルパワーで動かす状況にはならない。また、仮にフルパワーで動作していても、負荷が下がればすぐにファンの回転数は落ちる。このあたりは、放熱設計がしっかりなされているためだろう。
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