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シトリックスの2012年のビジョンは「モバイルワークスタイル」

PC時代の非常識が新しい常識!本領を発揮するシトリックス

2012年02月27日 09時00分更新

文● 渡邊利和

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2月24日、シトリックスシステムズは2012年のビジョンと戦略に関する説明会を開催した。長年に渡って「サーバーサイドコンピューティング」「モバイルコンピューティング」の実現に注力してきた同社だが、スマートフォンやタブレットといった新しいデバイスによってPC中心のエンタープライズコンピューティングのありようが変化しつつあることが明白になりつつある現状は、まさに本領発揮の時を迎えた感がある。

日本は成長率は世界でトップ

 まず説明を行なったシトリックス・システムズ・ジャパンの代表取締役社長のマイケル・キング氏は、2011年のトピックを総括し、「GoToMeetingが第二位のシェアを獲得」「デスクトップ仮想化の世界的リーダーに」「NetScalerが躍進した」「企業買収:6億ドルの戦略的投資」という4項目を示すことで同社の事業が順調であることを明らかにした。

シトリックス・システムズ・ジャパン 代表取締役社長 マイケル・キング氏

 さらに現在の経済状況を考えると意外な感もあるが、同氏によれば同社の事業地域であるAmericas(南北アメリカ大陸)、EMEA(ヨーロッパ、中近東、アフリカ)、APAC(日本を除くアジア太平洋地域)、Japanの4地域の成長率を比べると日本がトップだったという。どの製品が成長の原動力になったかといった詳細までは明かされなかったが、震災の影響などからBCP/DRといった観点からVDIに改めて注目する動きも見られたことから、やはり同社の主力製品であるXenDesktop関連のビジネスが好調だったのだろうと思われる。

 同社では、「PCの時代」から「クラウドの時代」への変化によって、従来オフィスが中心だった業務アプリケーションの利用がモバイルへと変わり、それに伴ってさまざまな変化が生じるとみており、「PCの時代に非常識とされていたことがクラウドの時代の新しい常識になる」という。これを踏まえた2012年の日本での同社の戦略は、「デスクトップ仮想化とモバイルワークスタイルにおけるリーダーシップを拡大」「クラウドサービスの強化」「お客様、パートナーへの価値を向上」という3点になる。基本的には従来からの取り組みの延長上にあるものだ。

2012年の戦略

Windowsアプリケーションをタブレットでも使いやすく

 続いて、同社のマーケティング本部 本部長の伊藤 利昭氏が今後提供開始される予定の製品やサービスについての説明を行なった。

シトリックス・システムズ・ジャパン マーケティング本部 本部長 伊藤 利昭氏

 ワールドワイドではすでに発表済みとなっている製品が多いが、これまであまり説明されていなかった製品として、「XenApp 6.5 Mobility Pack & Mobile Application SDK」の紹介も行なわれた。これは、XenAppユーザー向けに提供される“タブレットに最適化されたデスクトップ”と、“Windowsアプリケーションをモバイル対応に改修するためのツール群”だ。従来のWindowsアプリケーションはマウスとキーボードの組み合わせによる操作を前提としていたため、そのままタブレットやスマートフォンで使おうとすると不便な部分も多いので、これをタブレットやスマートフォンで使いやすいようにするための取り組みとなる。

タブレット等のタッチインターフェイスとは必ずしも相性のよくない従来のWindowsデスクトップを...

...タッチ・フレンドリーなものに変えてしまうことで従来のアプリケーションのモバイル対応を支援する。

 マイクロソフトは次期Windows(Windows 8)でMetroインターフェイスを導入し、PC上でもタッチパネルを前提とした新しいユーザーインターフェイスを提供することを計画しているため、長い目で見ればWindowsアプリケーションはこうしたモバイルデバイス上でも問題なく利用できるものが中心となっていくと想定されるが、企業が自製した業務アプリケーションなどは、自分たちでモバイル対応を実現する必要がある。こうしたニーズにいち早く対応しようという取り組みだ。

クラウド時代に対応する同社の製品のマッピング

 モバイルワークスタイルへの対応は同社が長年取り組んできたもので、さまざまなデバイスに対応するレシーバーの開発など、基本的なコンポーネントはすでに揃っている点が同社の強みとなる。ここ数年の同社はVDI分野で特に注目を集めた感があるが、今年はVDIを含むより大きなコンセプトである「モバイルワークスタイル」という点を強く打ち出していくことになりそうだ。

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