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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第46回

スマホOSシェアで過半数に達したAndroid この勢いは続く?

2012年02月22日 12時00分更新

文● 末岡洋子

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Androidにすべてを賭けるというのは正解か?
そしてHPのwebOSは第3の道を成功につなげられる?

 ここで気になるのがプラットフォームだ。ソニー自身もAndroidで「Sony Tablet」をリリースしているし、PlayStation Suiteを用いてAndroidスマホとPS Vitaの両方でゲームが利用できるよう環境作りを進めている。

 それでも、Androidにすべてを託すのかどうかはまだわからない。Androidの状況(GoogleによるMotorola買収もあったし、Androidでどう差別化を図るのか、収益を上げるのかの課題もある)を考えると、リスクとも見える。そのタイミングで浮上したのが、ソニーの最新のポータブルゲーム機のPlayStation Vita(PS Vita)だ。PS Vitaは3G版もあり、FacebookやTwitter、Skypeなどのアプリもある。

 PS Vitaでソニーは独自のOSを開発したが、国内メディアの記事によると、PS VitaのOSは「拡張性がある」としてモバイルへの拡大を示唆しているという。SamsungにとってのBadaのようなものを考えているのか、それとも……今後が注目される。

 根強いAndroid懐疑論を好機にしようとするのがHPだ。一度は切り捨てたPalm OSを起源とする「webOS」だが、CEO交代とともにオープンソース化に戦略を一転、開発ツールの「Enyo」をはじめ、コンポーネントの公開を徐々に進めている。HPの計画では、2012年8月にオープンソース版のベータを公開、正式版は9月に登場とのことだ。

 HPのCEOであるMeg Whitman氏は「業界にはもう1つOSが必要」と主張する。また、iOSはクローズドだし、Androidもクローズドになるかもしれない、とwebOSのオープン性を強調する。だが、webOSを採用する端末がどれぐらい出てくるのかは、HP自身を含めまだわからない。

 似たような言葉(「第3のエコシステム」)はNokia/Microsoft陣営からも聞かれており、「MeeGo」をはじめとしたこれまでのモバイルOSプロジェクトの失敗を考えれば悲観的なシナリオも頭をよぎる。実際、webOS開発を率いてきたJon Rubinstein氏(NeXT/Apple出身でPalmの元CEO)が1月にHPを退職するなど、不安材料もある。

 Whitman氏は、前任者が分離しようとしたコンシューマー向けのPC事業を、同社の重要な事業と位置づけ強化する様子だが、タブレットをふくめモバイル端末の具体的な戦略はまだ明確になっていない。イギリスのCanalysの調査では、タブレットを含むPC市場でHPは2011年第4四半期、ついにAppleに首位を奪われた。HPはタブレット、あるいはUltrabookでどのような回答を出すのだろうか。webOSを含むプラットフォーム、クラウド、そして買収した非構造化データ解析のAutonomyの活用などが注目のポイントになりそうだ。

 タブレットを含めると、モバイルOSは今後も動きがありそうだ。Microsoftはまもなくスペイン・バルセロナで開催される「Mobile World Congress 2012」で、次期「Windows 8」のベータ版(コンシューマープレビュー)を公開するといわれている。HTML5が普及すれば、アプリ開発者からはOSの違いは今ほど気にならなくなる。そのときにモバイルOS戦争がどのように動くのだろうか。


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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