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クラウド事業者マイクロソフトが考えた管理ツールの形

System Center 2012は「プライベートクラウド管理製品」

2012年02月21日 09時00分更新

文● 渡邊利和

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2月20日、日本マイクロソフトは同社の運用管理製品である「Microsoft System Center」の次期バージョン(2012)の概要に関する説明会を開催した。従来のSystem Centerは、それぞれ別個に設計/開発されたソフトウェア群が「運用管理」という共通性に基づいて同一ブランドの下に集められていた。これに対し、2012では全体が緊密に連携する「スイート」となり、個々の製品は「特定機能を担当するモジュール」という位置づけに整理され、プライベートクラウドの効率的な運用管理に対応する先進的な製品となる。

高効率なデータセンターの運用管理

 Microsoft System Center 2012は、今年上半期中のリリースが予定される同社のシステム運用管理製品の新バージョンだ。現時点ではリリース日や価格はまだ確定していない状態だが、製品の大きなコンセプトなどに関しての説明が行なわれた。

日本マイクロソフトのサーバープラットフォームビジネス本部 業務執行役員 本部長 梅田 成二氏

 まず説明を行なった日本マイクロソフトのサーバープラットフォームビジネス本部 業務執行役員 本部長の梅田 成二氏は、マイクロソフトとクラウドの関わりについて「クラウドの基盤技術を提供するプラットフォーム製品提供者であると同時に、さまざまなクラウドサービスを提供するクラウドサービス事業者でもある」「MSのクラウドサービスの多くは無償もしくはフリーミアムモデルで提供される」「データセンターの運営に多額のコストを費やすわけにはいかない」というロジックで、クラウドプラットフォームの運用管理の効率化/省力化は同社自身にとってもきわめて重要かつ切実な問題であることを明らかにした。

マイクロソフトのデータセンターの高効率化の歩み

 次いで、同社のデベロッパー&プラットフォーム統括本部 パートナー&クラウド推進本部 エバンジェリストの高添 修氏が具体的な製品概要についてデモを交えた紹介を行なった。従来のSystem Centerでは、出自の異なるさまざまな運用管理製品の寄せ集め、といった印象もあったが、次期「2012」では企業が社内ITインフラの管理のために利用することを想定し、「プライベートクラウドのための運用管理製品」として明確に位置づけ直され、スイート製品としての提供形態に一本化されるという。

デベロッパー&プラットフォーム統括本部 パートナー&クラウド推進本部 エバンジェリストの高添 修氏

 具体的には、「System Center Service Manager」「同App Controller」「同Virtual Machine Manager」「同Configuration Manager」「同Orchestrator」「同Data Protection Manager」「同Operations Manager」という7つのコンポーネントと、サービスとして提供される「System Center Advisor」で構成されるスイートとなる。中でも、仮想化環境のための運用管理ツールとして着実に機能強化を繰り返してきたVMM(Virtual Machine Manager)と、新コンポーネントとして追加されるランブック自動化機能を中核としたOrchestratorが重要な存在だといえるだろう。

Microsoft System Center 2012のコンポーネント構成

Microsoft System Center 2012が実現する主な機能

 ここでは具体的な個々の機能の詳細については触れないが、端的に言えばSystem Center 2012はプライベートクラウド環境の運用管理を効率化する上で必要な自動化機能をランブックによって実現しつつ、社内のクラウドユーザー(=アプリケーションオーナー)に対してIT部門がサービスとしてITリソースを提供するために必要な機能を整理した上で個々のコンポーネントに必要とされる機能として実装し直した、といった位置づけの製品になっている。明確なアーキテクチャの元で全体の再構築が行なわれたとみてもよいだろう。

 仮想化インフラの管理ツール、ということであれば仮想化ソフトウェアのベンダー各社がそれぞれ特徴のある運用管理ツール群を整備しているが、System Centerでは、単に仮想化インフラの運用管理という狭い視点ではなく、クラウド全体の運用管理の自動化の実現に取り組んだ点が特徴だといえる。ランブックによる自動化は、昔のバッチファイルのイメージに似た部分があるが、基本的には既存のさまざまなツールに対して順次指示を送ることで事前に定義されたシナリオに沿った処理を自動的に遂行していく、という形のものなので、既存の運用管理体制を維持したまま段階的な移行が可能な点もポイントだ。

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