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編集者の眼第34回

メタディスクリプションはSEO効果あり?を考えた

2012年02月06日 11時00分更新

文●中野克平/Web Professional編集部

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Image from Amazon.co.jp
Google上位表示 64の法則 (WEB PROFESSIONAL)

 HTMLのmeta要素の属性にページの内容を記述する「メタディスクリプション」について、Googleは「正確なメタデータ(descriptions)によりクリックされる可能性は高まりますが、検索結果のランキングには影響しません。」(「サイトのタイトルと説明の変更」より)と説明している。一方で、メタディスクリプションにSEO効果がありそう、という噂もずっとある。

 2月3日刊行のGoogle上位表示 64の法則』(藤井慎二郎・著、アスキー・メディアワークス・刊)では、タイトル中のキーワードの有無からソーシャルブックマーク数まで、64個のSEO仮説について統計的に調査。メタディスクリプションは、上位ページほど文字数が多めで、キーワードを含んでおり、SEO効果がありそうであることがわかった。

 もともとWeb Professional編集部は後発の書籍編集部でラインアップはまだまだ手薄だ。とはいえ、h1要素やキーワード含有率など、SEOでよく言われるテクニックがどこまで本当なのか興味があるが、どこまで本当なのか検証のしようのない「SEOのテクニック」を扱う本は作りたくない。そんなとき、『リスティング広告プロの思考回路』の著者の一人から、「SEOでよく言われる64の都市伝説について、250キーワード×上位50ページ=1万2500ページの統計的調査で本を書きたい」という藤井氏を紹介され、興味を持った。

 『Google上位表示 64の法則』はテクニックを扱う本ではないので、読む人が自分で解釈しないと大きな効果は期待できない。しかし、SEOに少しでも関心があり、あのテクニックはこうではないか、ああではないか、と考えたことがあれば、「ユーザーの役に立つコンテンツ」をGoogleがどのように自動的に評価しているのかが見えてくる

 編集作業をしながら多くの「気付き」があったが、中でも考えさせられたのがメタディスクリプションの分析だ。Googleはメタディスクリプションを評価対象にしないと言っているが、実際に調べてみると上位ページとメタディスクリプションの文字数やキーワードの有無には、上位表示と強い相関関係があった。どう考えればよいのか? 可能性はおもに以下の4つあるだろう。

  1. 本当はメタディスクリプションを評価対象にしている
  2. 相関関係は因果関係ではないので、出来のよいWebページはメタディスクリプションまでしっかり記述されていることが多いだけ
  3. メタディスクリプションが関係あると言われた時代に作られた「歴史の長いページ」が上位に残っている
  4. メタディスクリプションはスニペット(検索結果の要約部分)に使われるので、評価に使われなくても説明が多くてキーワードが含まれているとクリック率が高まり、順位が上がった

何となく合理的なのは4だが、正解はGoogle以外にはわからない。とはいえ、1万2500ページの調査から、相関関係があることだけは確かなのだ。

 本書のコンセプトは「SEOの都市伝説を斬る」なので、編集中はテクニック論に陥らないように注意した。しかし、SEO/SEMに関わるメディアに携わる者として、実は関係ある、関係ないを相関係数で説明する書籍を出せたのはよかった。「○○すれば順位が上がる」という期待に応えられる本ではないが、上位ページにはどんな特徴があるのかには明解に答えている。きっとコンテンツ作りにも活かせるはずだ。

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