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週刊 PC&周辺機器レビュー 第128回

WiMAXモバイルルーターの決定版!? Aterm WM3600Rを試す

2012年02月03日 12時00分更新

文● 小西利明/ASCII.jp編集部

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休止や起動も速い! 使いたいときにすぐ使える

WM3600の左側面。充電やパソコンとの接続用にMicroUSBポートを備える。写真右側の端子は、オプションのクレードルとの接続端子

 長時間駆動に加えて、WM3600Rは起動や休止からの復帰の速さも特徴のひとつである。休止状態からの復帰にかかる時間は、公称では約15秒と非常に速い。電源オフの状態からの起動には、それなりに時間がかかる。試用機でテストしたところ、オフ状態で電源ボタンを押してから、WM3600RがWiMAXに接続してデータ通信が可能になるまでの時間は約33秒程度だった。しかし、WM3300Rでは同じ操作で約43秒程度かかっていたことを思えばけっこうな改善で、実際に記者は起動の速さに驚いた。

 もっとも休止状態での待受時間の長さを考えれば、そもそも明示的に電源を切る必要すら、あまりないとも言える。例えばパソコンと組み合わせて使う場合なら、朝に家を出る時にWM3600Rの電源を入れて、帰宅するまでは入れっぱなしでいてもバッテリーは保ちそうだ。

 なお、搭載する無線LAN機能は、2.4GHz帯のIEEE 802.11b/gと11nテクノロジーに対応する。11n接続時の最大通信速度は約150Mbpsとされている。また、WPA-TSK/WPA2-TSK(AES、TKIP)の暗号化を使う接続と、WEP(64/128bit)を使う接続の2系統を同時に利用できる「マルチSSID」にも対応。パソコンやスマートフォンと携帯ゲーム機の接続を、完全に分離することが可能だ。WEP側(セカンダリSSID)に接続した機器はインターネット接続だけが可能なので、WPA-TSKなどプライマリSSID側につないだ機器へのアクセスをブロックできる。

 ブロードバンドルーターとしての機能には、特に特筆すべき点はない。逆に言えば、Atermの据え置き型ルーターが搭載しているセキュリティー機能やUPnP対応機能、VPNパススルーやポートマッピングといった機能は、ほぼあまさず備えている。

WM3600Rの設定は、ほかのAtermシリーズ同様、ウェブブラウザーから行なえる。設定項目も多彩で、据え置き型無線LANルーターと遜色ない

ECO設定はバッテリー関連の設定を行なう項目。バッテリー自体の劣化が気になるなら、「ロングライフ充電」を有効にして使おう

 また、無線LAN接続をボタン1つで行なう、「らくらく無線スタート」機能や「WPS」機能も備える。WPS対応機器、またはらくらく無線スタートのソフトウェアをインストールしたパソコンやAndroid端末なら、本体上部に備えた「らくらくスタートボタン」(SET)を押すだけで、AESモードでの無線LAN接続を自動設定してくれる。無線LANルーターとしても、機能に不足はない。

Android用に、WM3600Rの使い勝手を良くするアプリが何種類か無料で提供されている。画面はWM3600Rの電波状況やバッテリー残量を確認する「Aterm WiMAX Tool」(画面はサンプル)

 そのほかにも、WM3600Rには新機能として、公衆無線LANへの対応機能が追加されている。WM3600Rが対応する公衆無線LANの通信可能エリアに入ると、自動的に接続して公衆無線LAN経由で接続に切り替わる、という機能だ。対応するサービスとしては、UQコミュニケーションズが提供する「UQ Wi-Fi」のほか、「Wi2 300」「BBモバイルポイント」「HOTSPOT」などが挙げられている。

 「WiMAXルーターで公衆無線LAN接続して何が便利なのか?」と思われるかもしれない。だが、通常はWiMAXルーター経由で接続し、公衆無線LANのエリアではそちらを使うとなると、いちいち無線LANの接続先を切り替える手間が生じる。しかしこの機能を使えば、WM3600Rが公衆無線LANのエリアに入ると、自動でWiMAXから公衆無線LAN接続に切り替わるので、ルーターの先につなげる機器の無線LAN接続をいちいち変えなくてもすむ、というわけだ。

 接続先が何かを気にせず、WM3600Rにつなげておくだけでいいというのは、手間が省ける。対応サービスが増えれば、一層役立つ機能になりそうだ。

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