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F5 AGILITY Tokyo 2012ゼネラルセッションレポート

F5がセキュリティとサービスプロバイダーにロックオン

2012年02月02日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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2月1日、F5ネットワークスジャパンは、パートナー・エンドユーザー向けのプライベートイベント「F5 AGILITY Tokyo 2012」を開催した。「アプリケーション視点のネットワークがIT環境の未来を拓く」と題した今回のイベントでは、セキュリティベンダーとしての側面を強調する場面が目立った。

セキュリティ分野での急速な伸びをアピール

 ゼネラルセッションにおいて米F5ネットワークス CEOのジョン・マッカダム氏は、まず11.5億ドルの売り上げを達成し、好調だった2011年を振り返った。マッカダム氏曰く、Fortune 500に登録されているの企業のうち、F5の利用率は64パーセントに上っているが、「利用率は高いが、これはまだのばせる余地がある」(マッカダム氏)とのことで、さらなる顧客の獲得を目指す。また、ロードバランサーをメインとする既存のADC市場に加え、付加価値の高いAdvanced ADC市場においてもおけるシェアもトップを堅持しているとアピールした。日本の業績も昨年比21.5%と好調で、7年連続のシェアNo.1になっていると説明した。

米F5ネットワークス CEOのジョン・マッカダム氏

 また、最新動向として企業で扱うデータ量やアプリケーションの種類が増えているという点を指摘。CIOにITの効果に関するアンケートを行なうと、「数年前はコスト削減だったが、アプリケーションのコントロールに移っている」(マッカダム氏)とのことで、F5が従来から提唱するアプリケーションの視点がますます重要になると説明した。

2011年第3四半期もADC市場のリーダーを堅持(ガートナー調べ)

データ量の増大するツールやアプリケーションがトレンド

 そして、もう1つが、セキュリティ攻撃の増加。マッカダム氏は、ウィキリークスへのDDoS攻撃やソニーの事件を挙げ、従来型のセキュリティ対策では標的型攻撃は防げないと指摘。これに対応し、F5は近年「ユニファイド・セキュリティ」というコンセプトで、サイバー攻撃の遮断、アクセス管理、安全なリモートアクセス、管理の統合化など総合的なセキュリティ対策を強化しているという。グローバルでも、アプリケーションファイアウォールの分野が急速に拡大していると説明した。

サービスプロバイダー向けにiRulesやDPIを強化

 続いて米F5ネットワークス シニアバイスプレジデント CTO カール・トリーブス氏は、テクノロジー面での取り組みを披露した。F5の製品は、2004年に既存のロードバランサーからプロキシベースに移行し、TMOSというアーキテクチャーによりアプリケーションのトラフィックを最適化する。また、TMOSでは、ロードバランシングはもちろん、リモートアクセスやアプリケーションファイアウォール、WAN高速化などの機能をモジュールとして提供している。昨今はアプリケーションに特化した設定を容易に行なえるiApps、スケーラビリティや性能を拡大するCMP(Clustered Multi Processing)などの技術を導入してきたという。

米F5ネットワークス シニアバイスプレジデント CTO カール・トリーブス氏

 トリーブス氏が技術面での取り組みとして紹介したのが、「Project Topaz」と呼ばれるセキュリティ機能の拡充だ。もとより、BIG-IPではIP、TCP、アプリケーション層など幅広いレイヤーでデータを精査するという特性から、ウィキリークスへのDDoS攻撃なども防御するといった機能や実績を持っていたという。ADC製品として初めてICSA Labよりファイアウォールの認証取得したことが同日発表され、ファイアウォールマーケットに注力していくことが再度確認された。

 そして、今回もっとも大きなトピックはサービスプロバイダーや通信事業者向けのアップデートだ。まず、通信事業者向けにDPIと呼ばれるパケット解析技術を用いて、トラフィックの分類や加入者ポリシーの管理などを行なえるようにするという。「3Gでは音声とデータが別々だったが、LTEでは統合される。こうなると遅延を適切に管理する必要がある」(トリーブス氏)。また、サービスプロバイダーで重宝されるマルチテナントや仮想化対応も強化するほか、iRulesについてもサービスプロバイダーに最適化されたものを用意する。2012年のQ2に体験版が提供される予定だ。

BIG-IPのロードマップ

 その他、トリーブス氏はセキュリティの集中管理や仮想化対応の強化、ハードウェアによるオフロード技術の拡張などを含めたロードマップを明らかにした。今後もセキュリティ分野への注力とともに、クラウド対応やユーザービリティの向上なども着実に行なわれていくことになる。

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