このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

「Winny裁判」担当弁護士に聞く

MEGAUPLOAD事件、SOPAとの関係は?日本も影響ある?

2012年01月25日 19時00分更新

文● ASCII.jp編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

「法案」としてのSOPAは消え、「条約」として再提案される?

―― Filesonicや似たようなサービスが摘発されていますよね。DropboxやSugarsyncなどのクラウドサービスも「悪用しようと思えばできる」サービスとして警告あるいは停止されることはあるんでしょうか?

壇弁護士 Dropboxなどについては、現時点では、著作権侵害の利用方法は例外的と認識されているので大丈夫だと思います。今後の利用形態として「Dropboxを使ったファイル共有が常態化する」ということになれば問題化すると思いますが。また、アメリカのサービスは、アメリカ著作権法に従っているものであれば、アメリカは民事的にも責任を負わないという裁判例がYouTubeの事案でも出ていますから(2010年)、たとえば今回のことでYouTubeが巻きこまれることは少なくとも可能性が低いですね。

YouTube案件 : 2010年6月23日、米ニューヨーク州南地区連邦地方裁判所が、米メディア大手バイアコムによる著作権侵害の申し立てを却下し、事実上GoogleおよびYouTubeの勝利となる判決を下したもの。デジタルミレニアム管理法(DMCA)により、違法動画削除への協力行為が認められた場合、セーフハーバーとして著作権侵害の責任を問われないとされる判例となった


―― 今回の事件は一般的なものではなく、きわめて特殊な事例であると。

壇弁護士 一般的に、すべてに波及するような事件ではないです。クラウドがすべてダメとか、ファイル共有がすべてダメとか、そうやって拡張して考えることは、誤りですし、技術の可能性の芽を摘むものです。


―― メガアップロードは法的に見ても「最初から悪事目的で提供された」サービスだったわけですか?

壇弁護士 まだ情報が少ないのですが、かなり確信犯的だったような感じはしますよね。同じファイルのURLをひたすらバカバカ作って「著作権違反のファイルがあっても削除を求められたURLしか消さない」とか、そういうことをやっていたみたいなので。


―― SOPA(オンライン海賊行為防止法案)やPIPA(IP保護法案)との関係も指摘されています。

壇弁護士 SOPAそのものは審議見送りのようなので、おそらくアメリカの国内法になるのは難しいと思います。今回の事件は、SOPAと関連しているんじゃないかとは思いますが、はっきりしたことは言えません。


―― ではSOPA/PIPAは法的にはこのまま立ち消えになる可能性が高い、ということでしょうか。

壇弁護士 ただ、条約として、他の国にそういった法律を作るように求めてくることになるかなと思います。アメリカは国内だと比較的リベラルなんですが、国外に著作権保護強化を求めてくることがあるんですよ。SOPAやPIPAに似たような条約を提案して、「あなたの国も法制度化してください」という形で言われることはあるかもしれません。


―― すると、日本にも条約という形で提案されることはあるんでしょうか。

壇弁護士 同じような法律の制定を求められるとは思います。ただ、日本ではさっき言ったように「著作権侵害」の事案が成立しやすくて、かなり取り締まりもしているので、似たようなものができたところでそんなに変わらないような気もしますけどね。


―― 今回の事件に戻ると、法的にはそこまで大騒ぎするほどのことではないということですね。

壇弁護士 はい。それよりも「Googleが違法になるんじゃないか」「日本でもクラウド事業者は権利管理団体にお金を払わないと逮捕されるんではないか」という流言飛語が広まるのが非常によろしくないと思います。


―― よく分かりました、ありがとうございます。



前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン