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フレッツIPv6のすべてを知ろう 第4回

実はIPoEも使われる?

フレッツ「インターネット(IPv6 PPPoE)接続」の仕組み

2012年03月14日 06時00分更新

文● 中野功一

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 NTT東西がフレッツ 光ネクストで始めたIPv6サービスを利用し、仕組みを探る本連載。第3回では、IPv6接続の方式の1つである「インターネット(IPv6 PPPoE)接続」(以下「IPv6 PPPoE接続」)を利用するための設定を行なった。続いては、この方式の仕組みを探っていこう。

MA-100でのIPv6アドレスとプリフィックス

 今回はNTTPCコミュニケーションズの協力により、同社のインターネット接続サービス「InfoSphere」用のIPv6 PPPoE接続アカウント2つを使い、評価用接続環境を構築した。構成は下記の図の通りで、2つともフレッツ 光ネクストの回線だが、1回線はひかり電話も契約しているため、ひかり電話用ルーターのLANポートにIPv6トンネル対応アダプタ「MA-100」を接続している。もう1回線はONUにMA-100を直結しており、IPv4のPPPoEは利用できないIPv6専用回線だ。

評価用に構築したIPv6 PPPoEを使った接続環境

 現在一般家庭で使われるIPv4インターネット接続サービスでは、ブロードバンドルーターがPPPoE(IPv4)のゲートウェイ(クライアント)となり、ISPからのグローバルアドレスはブロードバンドルーターに割り当てられる。そして、ブロードバンドルーターがDHCPサーバーとなって、PCにプライベートアドレスを割り当てる。

 一方、IPv6 PPPoE接続の環境におけるIPv6アドレスの割り当て方法は、大枠はIPv4と同じだが、利用されるプロトコルは異なっている。

 まず、ISPとPPPoE接続したMA-100には、「RFC3633, IPv6 Prefix Options for DHCPv6」で規定された「DHCP-PD(DHCP Prefix Delegation)」によって、IPv6アドレスが割り当てられる。そしてMA-100は、「RFC2462, IPv6 Stateless Address Autoconfiguration」として標準化されている「RA(Router Advertisement)」によって、LAN内のホスト(PC)にIPv6アドレスを割り当てる仕組みだ。

 IPv4と大きく違うのは、RAで割り当てるIPv6アドレスは、プライベートアドレスではなく、DHCP-PDによってISPから割り当てられたグローバルアドレスの一部という点だ。また、ISPから割り当てられるのも個別のアドレスではなく、「プリフィックス」となる。

IPv6アドレスのアサイン方法と実際に配布されたプリフィックス

 ここでいうプリフィックスとは、IPv4アドレスのサブネットと同じもので、「アドレスのまとまり」である。IPv4では192.168.1.0/24といった表現をしていたが、IPv6でも同様に、「2001:2c0:cc00:5500:/64」といった表現をする。IPv4の家庭向けサービスではIPv4グローバルアドレスは1つしか使えないが、今回試したところ、InfoSphereのIPv6サービスでは「/56」、つまり

「2の64乗(=1844京6744兆0737億0955万1616)個のアドレスを持つサブネット」を256個作れるグローバルアドレス

を1契約で利用できた。IPv4アドレス全体(2の32乗、約42億個)より大きなサブネットを256個作れるわけだ。

 ISPによっては「/56」よりは少ない「/64」を割り振る場合もあるが、これでも「2の64乗のアドレスを持つサブネット」を1つ作れる。IPv4とは全く桁が違うアドレス数を使えるのだ。

IPv6の割り当て状況の確認

 MA-100では、PPPoEとIPoEでそれぞれ提供されたIPv6のプリフィックス情報を「DHCPクライアント取得情報」メニューで確認できる。この画面の「DHCPv6クライアント取得情報(インターネット)」が、ここまで紹介してきたIPv6 PPPoE接続を指している。

MA-100のアドレス情報

 一方、この画面には「DHCPv6クライアント取得情報(IPoE)」という項目もある。これは、「インターネット(IPv6 IPoE)接続」ではなく、フレッツ 光ネクストの内部ネットワーク(NGN)で使うためのIPv6アドレスだ。IPv6のIPoEはフレッツ 光ネクストを契約すると自動的に有効となるが、NGN内のサービスを利用するためのアドレスであり、インターネット接続には利用できない。

 先ほどの図「IPv6アドレスのアサイン方法と実際に配布されたプリフィックス」に、IPoEによるNGN用IPv6アドレスの状況を追加したのが下の図だ。IPoEでは、ひかり電話契約がある回線とない回線とで割り当ての方法が異なることが分かる。一般の利用上は意識する必要はないが、トラブル発生時などには混乱の元になる可能性もある。「IPv6 PPPoE接続の利用時でもIPv6 IPoEは使われる」事を覚えておくとよいだろう。

NGN専用に使われるIPoEによるIPv6アドレスも加味した状況(各回線の上段「IPoE」とある割り当て)。なお、今回紹介しているIPv6 PPPoE接続のIPv6アドレス割り当て方法は、ひかり電話契約のあり/なしで変化はしない

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 次回は、IPv6 PPPoE接続での各ホスト(PC)へのIPv6アドレスの割り当て状況を見てみよう。

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