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あなたの知らない最新AVの世界 第6回

こんなに進化していた! 高音質なPC用スピーカー(前編)

2012年01月12日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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ワイヤレスでPCの音楽を再生!? Wi-Fi内蔵のユニークモデル
オンキヨー「GX-W70HV」

オンキヨーの「GX-W70HV」。サイズとしてはちょっと大きめになり、見た目の迫力もある

オンキヨーの「GX-W70HV」。幅123×奥行き203(右)/184(左)×高さ225mmと、サイズとしてはちょっと大きめになり、見た目の迫力もある

鳥居:こんどちょっと変わり種を聴いてみましょう。これはなんと無線LAN(IEEE 802.11n/g/b)を内蔵したワイヤレススピーカーです。オンキヨーの「GX-W70HV」で実売価格はおよそ3万円ですね。

編集H:ワイヤレスというと、Bluetooth内蔵スピーカーとはどう違うんですか?

鳥居:Bluetooth内蔵の場合は、接続するとスピーカーがPCのオーディオ出力装置となり、音楽再生だけでなく、エラー音やメール着信までスピーカーから再生されますが、こちらの場合は、「Windows Media Player 12」などのDLNA対応のプレーヤーで、リモート再生で音楽信号を送ることができるのです。

編集H:いわゆるPC用スピーカーとはちょっと違う感じですね。

 本機の場合は、ワイヤレス再生と言っても、PCのそばに置いて使うスピーカーとはちょっと異なる。例えば書斎にあるPCを操作してリビングに置いたGX-W70HVから音を出す、といったことが可能だ。

R側スピーカーの前面の操作部。ボリューム調整のほか、高音や低音のバランス調整も行なえる

R側スピーカーの前面の操作部。ボリューム調整のほか、高音や低音のバランス調整も行なえる

スピーカーの保護用カバーを外したところ。10cmウーファーと20mmツィーターによる2ウェイ構成だ

スピーカーの保護用カバーを外したところ。10cmウーファーと20mmツィーターによる2ウェイ構成だ

 さらにDLNA対応なので、自分はリビングにいて、スマホなどのDLNA対応機器から(書斎の)PCをリモート操作して、GX-W70HVから音楽を再生させるようなこともできる。また、スマホに貯めた音楽をDLNAでリモート再生することも可能だ。

 普段はリビングに置いてテレビ用スピーカーとして活用し、PCなどを移動したり接続することなく音楽を再生するといった使い方になる。その意味ではPC用スピーカーとは少々意味合いが違ってくるモデル。PCに貯めた音楽をHi-Fiオーディオ的に楽しみたいというスタイルと言えるだろう。

R側スピーカーの背面。中央の「CONNECT」ボタンを押すだけで無線LANに接続できる。アナログ入力はオーディオ機器と同じRCA端子だ

R側スピーカーの背面。中央の「CONNECT」ボタンを押すだけで無線LANに接続できる。アナログ入力はオーディオ機器と同じRCA端子だ

編集H:無線LAN接続はWPSのみの対応ですね。背面の「CONNECT」ボタンを押すだけだから、簡単にできそうですね。

鳥居:逆に言うと、無線LANルーターがWPSに対応していないと接続できないので、購入時には確認した方がいいでしょう。設定自体は、無線LANルーターのWPSボタンを押し、GX-W70HVの背面のボタンを押すだけです。無線LAN接続ができたかどうかは、前面のインジケーター表示のほか、Windowsのネットワーク画面で確認できます。家庭内ネットワークにGX-W70HVのアイコンが表示された後は、ネットワーク設定で共有設定を行なうと、対応したWMP12などでリモート再生ができます。

編集H:詳しい方法は説明書にも載っているし、ネットワーク設定などに慣れた人ならば簡単にできますが、PCにあまり詳しくない人だとちょっと手強そうですね。

鳥居:そう思います。オーディオ機器のある部屋にPCを置きたくない僕のような人にはなかなか面白そうな製品ですが、一般的なPC用スピーカーとして考えると敷居が高い感じもします。

 その音はわりとパワフル指向の鳴り方で、タイプとしてはボーズに近い。大きく違うのはバランスがさらに低域寄りで、どっしりと落ち着きのある鳴り方になることだ。ボーカルなどの再現もより太書きで力強いタッチになる。

 坂本真綾のバディを聴くと、声もやや太く強くなり、バックの演奏もエッジの立ったパワフルな印象になる。ベースなどがやや張り出すため、ボーカルがやや埋もれがちに感じる。

 ベートーベンの第9では、男声のテノールやバスは朗々と響き、堂々した声になる。逆に女性は少し線が細い印象。スケール感は大きいのだが、少々細かい表情の変化などが乏しいと感じた。

 相性がよかったのはブルースのライブ演奏。野太いボーカルをパワフルに描き出し、ベースの弾力感たっぷりの響きやドラムスの身体を震わせる重低音がダイレクトに伝わる。ロック系のパワフルな演奏なども合うだろう。

 引き続きアナログ入力の音質も試してみた。GX-W70HVはもともとアナログ入力のみの「GX-70HD」がベースとなっているが、ワイヤレス再生機能の搭載に合わせてアンプ部も独自のデジタルアンプ「VLデジタル」に変更されており、アナログ入力ではGX-70HDと同じというわけではないようだ。

 試聴に使用したPCのオーディオ出力をつないでみたが、基本的な素性は共通だが、高域の再現が弱まる印象になる。ステージの広がりや奥行きがやや不鮮明になるような部分もあり、多少PC内のノイズ影響を受けていることがわかる。

 高域が穏やかになって聴きやすいとも言えるが、ワイヤレス再生の方が勢いやエネルギー感がよく伝わると感じた。そのため、PCと接続するならばワイヤレス再生、アナログ入力はテレビやCDプレーヤーの音声出力用と考えるといいだろう。

 独自性の強い製品のため、多少ユーザーを選ぶ傾向はあるが、スマホの普及などDLNA再生が一般的になると、こうした製品も増えてきそう。この先が楽しみなモデルではある。

 ここまで3万円クラスの製品を紹介してきたが、このPCスピーカーというジャンルにもハイエンドモデルが存在する。次回はそんな高品位スピーカーについて触れてみたい。

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