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「直販だからできる」に全力を注ぐ、革小物専門店 (3/3)

2012年01月11日 10時01分更新

文●三浦たまみ

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自店の商品に合う販促活動をすればいい

 セールを開催する、メルマガを発行する、イベントを計画する。他店を参考にしながら、ひととおりのことはトライした。結果、佐藤さんは実感したことがある。

「何より大事なのは、自社商品の特性を見極めて戦略を立てるべきということ。たとえば、アウトレットセール。もともと、うちの商品は職人の手作り品なので安売り前提でモノ作りはしません。それでも、革そのものの生産が終了したため廃番になる商品や、リアル店舗で展示品として飾られていた状態の良いものなど、多少値を下げてでも売り切ってしまいたい商品はある。それをセールしたところ、まったく売れなかったんです。セール=(自分たちは)忙しいというイメージがありましたから拍子抜けでした。うちに来店してくださるお客さまは、安いだけものを求めているわけではないんだと実感しました」

 メルマガは週に1回は発行するというネットショップの“常識”も、Cカンパニーでは当てはまらなかった。Cカンパニーの主力商品である手帳や財布などは、基本的に1年に1度しか新製品を発表しない。そういうお店が、週に1回メルマガを発行したところで、ネタが尽きるのがオチなのだ。

「手を変え、品を変え、いろいろなメルマガを書いてみましたが、新商品の情報をアップしたときのメルマガのみ顕著な反応があります。毎週のように新しい仕入れ商品があるお店なら別ですけど、うちのようなスタイルで製造と販売をしているお店のメルマガは、新商品が出るとき、イベントを開催するときなどに限定して送れば十分だと思うようになりました」

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Cカンパニー店主の佐藤明美氏

一度は楽天市場を撤退

 現在、本店(独自ドメイン)と楽天市場の2店舗を運営しているCカンパニー。実は、楽天市場は、“二度目”の出店だ。はじめは本店をオープン後、しばらくして楽天へ出店するも、2004年に撤退した。

「手が回らなかった。その一言に尽きます。実は私、商品の企画デザイン以外にも、サイト制作や更新作業、メルマガ執筆など、商品の出荷以外の業務は、ほぼひとりでやっているんです。2004年は、ブロードバンドが一般化した時期で、注文が一気に増えた頃でした。とてもじゃないけど、楽天まで運営するのは無理がありました」

 なにもかも自力でやることに限界を感じた佐藤さんは、パートを増やす、サイト制作を外注に出すなどして、対応しようと試みた。

 ところが、どちらも、“泥沼”にはまりこんでいくのである。(続く)

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「Cカンパニー」の楽天ショップ。デザインは本店(独自ドメイン)と共通性を持たせているが、楽天ショップならではのポイントの特典や楽天ランキングといったコンテンツを展開する

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