“作ったそのあと”まで意識して商品作り、サイト作りを
お客さまの声を商品に反映させれば、即、売り上げに結びつく、というほど甘いものではない。佐藤さんはこう振り返る。
「『使い勝手が良く、質が高いモノを作る』というのは、いわば、スタート地点に立ったに過ぎません。どこかに卸してあとは売ってもらう卸売業のスタンスでお店をやっていてはダメ。こちらから積極的に“仕掛け”る姿勢が大事なんだと痛感しました」
同社は、東急ハンズやロフトなどにも製品を卸している。佐藤さんは、機会があれば店頭に足を運び、お客さまが、どういうときに商品を手に取るのか推測していった。
「たとえば、男性用の財布を買うとき、カップルで財布を選びに来て、彼女の方が『これ、いいね』って言った一言が、購入を後押しすることってありますよね。ECサイトで商品を選ぶ場合も同じで、一緒に画面を見ながら購入ボタンを押す可能性がある。ならば、男性向け商品も、女性の視点を取り入れてサイト作りをしたらどうかと。たとえば、おしゃれなスーツを着た男性が財布を使っているシーンを商品写真のメインに使ってみるなど、リアル店舗の“手に取りたい”を、サイトで表現したいと思いました」
B to Bの視点から、B to Cの視点へ。佐藤さんの意識が大きく変わったのだ。つい最近、同店では、「クリスマススペシャルフェア」を開催した。ギフト包装の無料、名入れ刻印の半額のサービスを期間限定で実施したところ好評だった。佐藤さんのイベント企画は、お客さまにとって、どのようなサービスが嬉しいのか、買いたい気持ちを後押しするのかを考えて開催する。今でこそ当然の感覚だが、サイトオープン直後の“作ること”でいっぱいだった佐藤さんにとって、“作ったあと”まで考えるのは、まさに手探りの連続だった。