2011年は、市場にタブレットが数多く登場した年だった。特にAndroidでは、今年頭にタブレット向けに画面構成などを合わせた「Android 3.0 HoneyComb」が登場したこともあって、さまざまなメーカーが新製品を発表し、群雄割拠とも言うべき状況になっている。
そして激化しているのがタブレットの値下げだ。1万円台で買えるAndroidタブレットまで登場したが、そうした製品の中には見かけが明らかに安っぽかったり、処理性能が低かったりする「安かろう、悪かろう」のものもある。ただ、ガジェット好きとしては、「安いから仕方ない」とがまんして使い続けるよりは、少しぐらい高くても気分よく触れる端末を選びたいところ。
そんな「いいもの志向」の方に知ってほしいのが、台湾Camangi(カマンジ)の7インチAndroidタブレット「Mangrove 7(マングローブ 7)」だ。「台湾製?」とあなどるなかれ。今やアップルのiPadも含めて、世界のデジタル機器の多くを台湾のEMS(受託生産サービス)企業が製造している。早速、その魅力をひも解いていこう!
アスキー総研所長遠藤・私はCamangiを尊敬している
「7インチ原理主義」というものを標榜する私だが、それを、最もはやく形として示したのが「カマンジ」という不思議な名前の会社だった。いまから2年も前の2009年12月に発売された「Camangi WebStation」である。Androidを搭載したタブレットということ自体が新しいのだが、7インチがちょうどよいという、最新の業界のトレンドを予見していたともいえる。
最新のトレンドといえば、いま業界はテレビとスマートデバイスの組み合わせが、いちばんホットな領域になっている。米ヤフーが買収した「IntoNOW」をはじめとして、「GetGlue」、「ZeeBox」など、テレビを楽しむためのアプリやサービスが目白押しだからだ。このとき、7インチのタブレットは、ソファやテーブルの上においてさっと片手でワシ掴みできるスーパーリモコンになる!
そういえば、カマンジは、テレビでYouTubeやニコニコ動画が気軽に楽しめる「Camangi Home-pod」という製品も出していた。21世紀のホームエンターテインメントが、どんなデバイスの組み合わせになるのか? あらゆる家電、コンピュータメーカーを含めても、最も理解している会社の可能性がある。
Android 1.5時代から端末を出してる老舗
まず知りたいのは、Mangrove 7を出してるCamangiについてだろう。今のところ販売チャネルが限られているため、知る人ぞ知るという存在ではあるが、ちゃんとした素性のメーカーだ。
Androidタブレットはかなり初期から取り組んでおり、2009年12月に、世界で最初の7インチAndroidタブレット「WebStation」を発売した。まだOSがAndroid 1.5の時代だ。続けて2010年8月には、同じ7インチの「FM600」をリリース。こちらは3G回線にも対応しており、SIMロックフリーなので、NTドコモやソフトバンク、日本通信など好きな携帯電話事業者を選んで通信可能だ。
その先にあるのが、7インチの「第三世代」になるMangrove 7だ。Camangiが担当するのは企画とマーケティングで、開発/製造は、アップルやデルなどの大手メーカーと取引している世界最大のEMS企業、FOXCONN(フォックスコン)が手掛ける。
中国メーカーが出す製品の中には、機能を独自に拡張しすぎてグーグルの公認を受けられなかった端末もあるが、Camangi製品は正式認定されている。当然、日本で使うために必要な「技術基準適合証明」(TELEC)、「PSE」、「VCCI」といった認定類もすべて取得済み。ちなみに現在、7インチ以外に4インチ、10インチ、3G対応のタブレット、セットトップボックスなどの企画も進行中だ。
7インチデビューに最適なシンプル&高品位
そんなCamangiが作るMangrove 7では、まずスペックに注目したい。CPUにはNVIDIAの「Tegra 2」(T20 Dual Contex A9-1GHz)を採用。安価なタブレットのCPUは、コア(データを演算処理する中核部分)がひとつしかない「シングルコア」のものも多いが、Tegra 2はふたつはいっている「デュアルコア」なので処理性能が高い。
メモリーは1GB、内蔵ストレージは8GBと、いずれも必要十分だ。実際にYouTubeアプリを起動して再生してみても、画面の切り替えに引っかかりがなくサクサク動いてくれる。ウェブサイトの閲覧も快適だ。モバイル機=遅いというイメージはまったくない。
液晶ディスプレーの解像度は、このクラスで標準的な1024×600ドット。表面には傷が付きにくいゴリラガラスを採用している。ゴリラガラスはプラスチックの数十倍という強度を誇り、少々の引っかきなどではビクともしない。カメラは、前面と背面に2つ付いている。また、バッテリー0%の状態から満充電まで2時間以内という充電時間も魅力だ。
本体の上面と底面の右端にステレオスピーカーを内蔵しているのも特徴だ。横持ちにするとちょうど音が左右に広がる感じになるため、手持ちで映像を見る際にぴったり。AV用途では、HDMI出力備えており、フルHD(1920×1080ドット)でテレビに操作画面をそのまま出力できるのも見逃せない。自宅では大画面のテレビにつないで映像を見て、そのままケーブルを外して出先で続きを見る、といった使い方も可能だ。
男を際立たせる深紅の背面!
性能に加えて、外観デザインにもこだわっている。目を引かれるのはワインレッドの背面だ。二重構造になっていて、半透明な表面の奥にはエンボス加工されたトライアングルがあしらわれている。タブレットといえばスマートフォンに比べてサイズが大きいので背面が目につきやすいが、その割にはのっぺりとしたシンプルなものが多い。それらにくらべてMangrove 7の立体的なデザインは、高級感を感じさせる。
台湾メーカーながら、日本語をきれいに表示するためにちゃんとフォント(DynaFont)を採用している点も手抜きがない。投資すべきところには、きちんとお金をかけるという姿勢は、激安タブレットのメーカーとは一線を画すところだろう。
価格は4万4800円と「ひとつ上」のクラスだが、スペックとデザインを考えると決して高くはない。2012年初頭からは流通を強化して容易に入手できるようになるとのことなので、店頭でみかけたらぜひ手に取って実物を確かめてほしい。
Mangrove 7 | |
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OS | Android 3.2 |
CPU | NVIDIA Tegra T20 Dual-core(1GHz) |
メモリー | 1GB |
内蔵ストレージ | 8GB |
液晶ディスプレー | 7インチ(1024×600ドット) |
カメラ | 500万画素(背面)、200万画素(正面) |
ラジオ | FMラジオ |
インターフェース | USB 2.0、マイクロHDMI、マイクロSDカード、ヘッドホン |
音声 | ステレオスピーカー、マイク |
無線 | GPS/AGPS、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 2.1+EDR |
センサー | 加速度センサー、ジャイロセンサー、E-コンパス、照度センサー |
バッテリー | 3200mAh |
耐環境性能 | 動作保証温度:-15~55度、保存温度:-20~70度、動作保証湿度:10~90%、保存湿度:5~95% |
本体サイズ | 幅122×高さ195×奥行き11.92mm |
重量 | 380g |
価格 | 4万4800円 |