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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第80回

楽器で“つぶやく”のが楽しい!スマートシンセ「iKaossilator」

2011年12月10日 12時00分更新

文● 四本淑三

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操作の気持ちよさより通信機能を重視

―― PCM音源にした理由は何ですか?

坂巻 まずハードの制約という話で、やっぱりiPhoneはまだ非力なんですね。それとiPhone上で音を鳴らすと、ちょっと遅く感じる場面があるんです。KAOSSILATORはモデリングで鳴らした音を重ねていけて、肉体的に気持ちのいい部分があると思うんですが。

―― iPhoneだと操作のダイレクト感が薄いと。

坂巻 だから通信機能があることを生かしたほうがいい。リアルタイム性より、ファイルをシェアできたりとか、作ってからどうするか、そっちに振った方がいいんじゃないかと。それでイベントベースでデータを軽く作って、通信で交換しやすくして。相手のアプリにも同じ音源が入っているから同じ音が鳴る。それを組み合わせて遊べたらいいんじゃないかと。

―― ということはループを書き出して、SoundCloudへアップすると、MIDIも転送されるわけですか?

井上 “Loop Data Sharing”というオプションをオンにすると、オーディオループと一緒にループ・データも上がります。そのループをiKaossilatorの“Share”画面で見られるわけですね。

Shareボタンからクラウドサービス(SoundCloud)上で共有されているループが見られる

―― そこはiMS-20と同じ感じですか?

井上 iMS-20はストリーミングオーディオを再生して、データが付いているものは別途ダウンロードもできます、という感じだったんですけど、今回はダウンロードができるものをリストして、そのままダウンロードもしているという感じです。

―― “Shered”に表示するものを選別できないんですか? 特定のユーザーやジャンルだけとか。

井上 このバージョンではループが共有できる以外にオプションはないです。つまるところ……全部落ちてくると。

―― ということはTwitterでもそうですけど、ユーザーが多くなると大変じゃないですか?

井上 大変だと思います。でもフォロー、フォロワーみたいな事は考えずに、なんかいいのあったらいいな、みたいな感じで使ってもらえれば。やろうと思えばいろいろできるんです。ユーザーBとユーザーAが、同じネタを往復して創り上げていくとか。そういう方向性よりも、何か面白いものがあったら捕まえてみるみたいな。

―― ある種のチャンスオペレーションですね。たとえば著作権に厳しい人がユーザーにいて、その人のループを知らずに使って怒られたりしませんか?

井上 基本的にはトラックにライセンスが付けられるので、各トラックのライセンス表記に従ってもらえればいいと思います。

データの投稿時に「Private/Public」や著作権表示など、SoundCloud側が持つオプションの設定ができる

―― なるほど。利用条件はSoundCloud側を見てくれと。

井上 そうですね、CCの“Share alike”だったら使ってもいいでしょうし、“All rights reserved”でも絶対に使ってはダメという意味ではないので。その場合は本人に聞いてくれ、ということでしょうかね。

※ CCはCreative Commonsの略。この場合はSound Cloudのオプションにあるライセンスの表示のこと。Share alikeは、元作品のライセンス条件を継承する限り、改変した作品の再頒布を認めるという表示。

坂巻 そもそも著作権にうるさい人はシェアしないと思いますけどね。

―― あ、それは確かに。

坂巻 これでKAOSSILATORシリーズのキャラ分けはできているんじゃないかと思いますね。KAOSSILATOR PROは、リアルタイム性の高い作りをしているんで、やっぱり楽器性が強い。iKaossilatorは音遊びの部分を強くして、KAOSSILATORワールドをより強固なものにしたということです。

世界中から上がってくるループパターンを自由にマッシュアップできるのはすごく楽しい

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