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非FAS/DataONTAPの新製品をビッグデータ向けに投入

ネットアップの企業理念を変えさせたビッグデータの台頭

2011年12月08日 09時00分更新

文● 渡邊利和

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12月7日、ネットアップはプライベートイベント「NetApp Innovation 2011 Winter Tokyo」を開催、併せて同社のビッグデータ戦略に関するプレス向け説明会を同イベント会場内にて行なった。

ビッグデータはストレージベンダーを変えた

 NetApp Innovation 2011のキーメッセージは「ユニファイドストレージで守り抜くビッグデータとクラウド」となっていた。IT業界全体で“クラウド”と“ビッグデータ”が大きなテーマとして注目されていることを反映してのことだといえるが、一方でこうしたトレンドがストレージベンダーの戦略に与えるインパクトはさほど大きくはないのではないか、という疑問も浮かぶ。ビッグデータといっても、ストレージに関する限り特に新たな取り組みが必要なわけではなく、「より大量のデータを安全に記録し、高速なアクセスを実現する」という点に関してはこれまで連綿と取り組んできた基本的な要件がそのまま活きているはずだ。となると、ストレージベンダーのビッグデータ戦略とは一体何を意味するのか、この点に対する明快な回答が示された。

米ネットアップ バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー NASおよびVシリーズビジネスユニット担当 ブレンドン・ハウ氏

 説明を行なった米ネットアップのバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー NASおよびVシリーズビジネスユニット担当のブレンドン・ハウ氏は、「現在のネットアップは1年前の姿から大きく変化している」と語る。この変化を引き起こした最大の要因として同氏が挙げたのは、今年5月に行なわれたEngenioの買収だ。この買収によって獲得された“Eシリーズ”ストレージは、プライス/パフォーマンスの最適化を狙うもので、従来の同社の“FASファミリー”とは異なる用途に対応するという。同氏は両者の違いについて、「Eシリーズはプライスパフォーマンスの最適化、FASファミリーは豊富な機能の実現」と表現している。

 買収によるラインナップの追加によって、同社が長く標榜してきた「FAS/Data ONTAPによるシングルアーキテクチャー」という体系は崩れたことになるが、同氏は積極的な買収戦略を展開するEMCとの違いとして、「EMCのさまざまなブランドの製品は同じ機能をそれぞれ実装するなど重複があるが、EシリーズとFASファミリーは完全に棲み分けができており、オーバーラップはない」としている。

 その上で同氏は、同社のビッグデータへの取り組みを“ABC戦略”というキーワードで紹介した。AはAnalitics(分析機能)、BはBandwidth(帯域幅/パフォーマンス)、CはContent(コンテンツへのアクセス)という意味になる。膨大な量に上る“ビッグデータ”から有用な情報を引き出すためには高度な分析機能が必須だし、パフォーマンスも高くないと実用にならない。また、あまりに大量のデータから必要なデータを見つけ出す困難を解消する必要もある。

NetAppが考えるビッグデータの“ABC”

Eシリーズ買収によってNetAppの製品ラインは複数になった

 こうした課題に対して同社では、Eシリーズをプラットフォームとし、オープンソースソフトウェアを組み合わせた「ソリューション」を提供することで対応していこうとしている。用途や業種に特化したソリューションを構築、提供していくのが同社のビッグデータ戦略の根幹となる。まず同社が取り組むのは、分散処理プラットフォームのHadoopと、クラスタファイルシステムのLustreだ。これらの技術に強いパートナーとしてClouderaおよびWhamcloudとの協業も強化しており、共同でのソリューション実現に取り組み、これらパートナーが提供するソフトウェア/製品を同社の製品にバンドルして提供する。いわば、ハードウェアコンポーネントとしてのストレージの提供から、ソフトウェアも含む「ソリューション」の提供へと業態をシフトさせることが同社のビッグデータ戦略として語られているのだ、と受け止めてよいと思われる。

同社がビッグデータ関連で提供するソリューションの例

“ABC”各分野における今後の取り組み

 同氏は、「これまでさまざまな分野でそうであったのと同様に、ビッグデータに関してもネットアップがリーダーとしての地位を確たるものにしていく」と語り、こうした取り組みの成果に対する自信を示した。

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