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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第82回

初のWiMAX対応タブレット「GALAPAGOS」の使い勝手は?

2011年12月08日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳

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シャープらしい配慮はあるが
AV系連携に不満も

 シャープはEB-A71を独自のAndroidタブレットとするために、いくつかの要素を追加している。まずひとつめは「フォントの変更」だ。シャープ製Android端末ではおなじみの機能だが、OS標準のフォントから、シャープ独自の「LCフォント」へと、自ら設定を変えて切り替えられるようになっている。好みに合う合わないはあるかもしれないが、見た目的には、LCフォントの方がかなりいいと筆者は感じる。

シャープのスマートフォン/タブレットには、フォント切り替え機能がある。EB-A71の場合、LCフォントかデフォルトかの2種のみ。他機種のように別フォントも用意してほしかった

 2点目は「名刺読取」などの独自ソフトだ。このソフトは、カメラを使って名刺を読み取り、住所録に登録するという、スマートフォンなどでもおなじみのもの。だが、さすがに洗練を重ねただけあってか、認識率・認識速度ともに良好で、非常に実用性が高い。

シャープオリジナルの「名刺読取」。読み取る前はフォーカスがあっていないように見えるが、読み取りボタンを押すとフォーカスが合い、内容を読み取る

 スマートフォンと違い、「タブレットのカメラはさほど使う機会がない」という人も多いだろうが、こういった用途になら十分活用できる。アプリを追加すればできることではあるが、これだけの精度のものが最初から付属する、というのはプラス要因になる。

EB-A71の背面。500万画素のカメラを搭載する

 そのほかにも、「Evernote」や「SnapCal」、「Skitch」など、他のAndroid端末でも定評のあるアプリがいくつかプレインストールされている。全般的に見て、「Androidをまだ使い慣れていない人でも、とりあえずひととおりのことができるようにした」という、いかにも日本メーカーらしい配慮が見える。もちろん、「GALAPAGOS」ブランドの元となった、電子書籍を中心とした「GALAPAGOS Store」サービスも使える。7型というサイズの良さは、ここで最大限に発揮されるといってもいい。

 3点目は「家電連携」だ。同社の液晶テレビ「AQUOS」と連携して、リモコン代わりに使えるアプリが付属する。ただし、LAN上でDLNAを使い、録画番組を見るソフトなどはない。そういった機能を持つタブレットやスマートフォンが増えていることを思うと、AV機器メーカーの作るタブレットとしては寂しい。早期に対応をお願いしたいところだ。

 さて、そろそろ最終的な結論だ。EB-A71は7型タブレットとして、正直つっこみどころがないくらいよくできている。充電の点や、縦に持った際に色の変化を感じやすいほど、横方向の視野角が狭い点には(おそらく液晶パネルの特性によるものと思われる)、ちょっとした不満を感じるが、それ以外は及第点といえる。そこに、通信契約のしやすさと通信速度の点で評価の高いWiMAXが入っているのだから、悪い評価にはなりようがない、ともいえる。

 ただ逆にいえば、WiMAXの有無を除くと「このタブレットが圧倒的にいい」といえる点も少ないのだ。パフォーマンスもバッテリー駆動時間も、「悪くはないが優れている」わけではない。劇的に軽いわけでもない。積極的に選ぶインセンティブが薄い、ともいえる。

 よくできているがキャラが薄かったタブレットが、WiMAXで注目できる存在になった。EB-A71はそんな製品といえそうだ。

お勧めする人
・持ち歩きやすいタブレットを探している人
・WiMAXでテザリングできる機器が欲しい人
GALAPAGOS EB-A71GJ-Bの主な仕様
CPU Tegra 2
メモリー 1GB
ディスプレー 7型ワイド 1024×600ドット
無線通信機能 WiMAX、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 2.1
インターフェース micro USB、microHDMI出力、microSDメモリーカードスロットなど
サイズ 幅195×奥行き122×高さ11.9~12.6mm
質量 約396g
バッテリー駆動時間 静止画再生時 約7.5時間
OS Android 3.2
価格 オープンプライス(UQでの直販価格 5万9800円)
発売予定日 12月9日
■Amazon.co.jpで購入

■関連サイト

筆者紹介─西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「iPhone仕事術!」(朝日新聞出版)、「iPad vs.キンドル」(エンターブレイン)、「メイドインジャパンとiPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電」(朝日新聞出版)、「知らないとヤバイ! クラウドとプラットフォームでいま何が起きているのか?」(共著、徳間書店)。「電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「災害時ケータイ&ネット活用BOOK」(共著、朝日新聞出版)。最新刊は「形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組」(エンターブレイン)。

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