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痛車でラリー! メロンブックスインテ2年目の挑戦 第8回

今年の最終戦! メロン号、新城ラリーで激走!

2011年12月07日 19時00分更新

文● 中村信博 写真● 中島正義、うえのふみお、山本徹

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 今回の「新城ラリー2011」では、いつものTRICSと呼ばれるSS速報のほかに、ラジオポイントから送られてきた通過タイムを表示するトラッキングサービスも稼動していた。ラジオポイントとは、ステージ中の数kmごとに置かれている監視ポイントのことで、アタック中のマシンの通過をチェックしている場所。競技の安全にもかかわる場所なだけに、その報告はとても迅速で正確。MRCではこのトラッキングサービスの情報をモニターに映してお客さんに提供していたが、リアルタイムで競技の模様を知ることができるのでお客さんからは非常に好評だった。

 モニターに映し出されたトラッキング情報に、筆者は目を疑った。SS1からいきなりクラス5番時計、トップから7.3秒のビハインドを抱えている。最初のSSで調子が上がらずタイムを落とすことはよくあることだから、この時は「今日に限って、えらくスロースタートだな」という感想だけだったが……。

 JN-4クラスの1台が道をふさいでディレイとなったSS2をはさんで、SS3「Houraisen」。なんとここでもメロン号は、トップの明治慎太郎選手/漆戸あゆみ選手組スターレットから遅れること4.2秒の3番時計。これはメロン号に何かトラブルが起こったか……?

今回のイベントでトップをひた走る、明治スターレット。ちなみに明治選手は、グラベルイベントではライバルチーム「CUSCOジュニアラリーチーム」(CJRT)のサトリアネオを駆っている。舗装イベントは自分で所有しているスターレットターボで出場しているのだ

某ゲームキャラと見た目ソックリな、通称「ラリー界のダル」ことCJRTの松井 悠監督。今回は舗装イベントなのでCJRTの参戦は無し。なのでウチのゲストとして来場していた

こっちのダルはリアルにも積極的。筆者の知らない間に、ウチのテントに生めろんちゃんだけでなくNENCチームの2人のRQまで呼んで、まさにこの世の春を謳歌(笑)

 そして、サービスA。クルーに状況を尋ねるが、メロン号にトラブルはまったくないという。だが、事前に大まかに合わせておいたセッティングが大きく外れていたため、とても全開では攻められないらしい。さらに突っ込んだ状況をコドライバーの田中選手に尋ねてみたが、セッティングが合っていないためにコーナーへの進入で躊躇する場面が多くて、タイムが伸び悩んでいるということだった。

メロン号、サービスAに帰還。すぐにメカニックが取り付いてセッティングの大幅な変更作業が行なわれた

誰もが予想外となったメロン号の苦戦に、モータースポーツ誌の取材班が飛んできてインタビュー。眞貝選手としても、タイムが伸びない状況に苦笑するしかない様子だ

 事態は深刻だ。5kmもないショートステージ2本だけで11秒も負けていては、今回のイベントで勝負どころとなるロングステージ「Gampo-North」では、どれだけ負けが込んでくるかわからない。幸い1ループ目のSS2「Gampo-North Ⅰ」はディレイとなったが、本日後半のSS5で登場する「Gampo-North Ⅱ」で大きく走り負けてしまうと、一気に勝負が決まってしまう!

 降り続く雨のなか、メロン号のセッティングを大きく変更する作業が行なわれた。わずか20分のサービスA、メロン号は4輪をジャッキアップして、車高やアライメントを含む足回りのすべての項目を大幅にチェンジする。メカニックの奮闘により何とか20分でサービスアウトしたメロン号、これで少しでも走りやすくなってくれればいいが……。

SS(距離) ステージタイム(トップ差) クラス総合タイム(トップ差)
SS4/Ohbira-Reverse II
(4.54km)
4:05.1(+4.0)24:32.6(+15.5)
SS5/Ganpo-North II
(12.83km)
12:36.9(+36.1)37:09.5(+47.6)
SS6/Houraisen-Reverse II
(4.23km)
4:11.0(+3.3)41:20.5(+50.9)

 ダメだ、追いつけない! セッティングを大きく変更したこともあって、1ループ目よりもスピードは上がっているようだけど、それでもトップの明治スターレットからじりじりと離されつつある。予想通り、SS5のロングステージでは30秒以上もの大負け。続くSS6では何とか2番時計に食い込んだものの、ここでもベストを出したのは明治スターレットだ。

 メロン号、デイ1最終のサービスBに帰還。マシンに問題はまったくない。でも、いつものターマックイベントでの展開と違って、デイ1で完全に走り負けたのはドライバー眞貝選手としてもショックだったようだ。今日のドライビングを振り返っているのか、ずっと考え込んでいることが多い。

降り続く雨の中、メロン号がこの日の後半ステージを終えてサービスに帰ってきた。トラブルはまったくなく、各部のチェックのみでメカニックはマシンから離れる。不調の原因はいったい何だ?

 デイ1でのJN-3クラスの成績は、トップが明治スターレット、続いて上原利宏選手/郷右近孝雄選手組シビック、3番手に山口清司選手/島津雅彦選手組レビン。メロン号はそこから遅れること5.8秒の4番手で、トップの明治スターレットからは50.9秒もの差をつけられている。明日のデイ2で走るステージは6本あるけど、すべてショートステージで合計距離はわずかに21.02km。この距離とタイム差じゃ、トップを取り返すのはとても難しい。

帰ってきたクルー達とミーティング。思いのほかタイムが出ていない状況に、誰もが困惑顔だ

 このとき筆者が思い出していたのは、2008年の最終戦・新城、それに今年の開幕戦・唐津の状況だった。2008年の最終戦では、チャンピオンを争っていた西山敏選手が序盤でリタイヤ。さらに今回と同じ明治慎太郎選手がコースアウトし、チャンプ獲得の可能性がもっとも少なかった我々が逆転チャンピオンを決めたのだ。そして、今年の唐津では、序盤にスピンをしてしまい大きくタイムを失ったメロン号だったが、デイ2に入ってトップの筒井克彦選手のS2000がミッショントラブルでリタイヤ、我々が逆転優勝を遂げたのである。

 今回の状況は、これらとどこか似ている部分がある。デイ2のいずれかのSSで、トップの明治選手に何かが起こることは充分に予想される事態だ。そのとき、逆転可能な位置にメロン号を押し上げておかなければ、せっかくのチャンスもチャンスとして活かせない。それに今年はこれが最終戦、ここでミスをしたとしても後顧の憂いはない。作戦は決まった、メロン号は明日のデイ2、最初から最後までフルアタックだ!

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