Androidスマートフォンから、BlackBerry
さらにiPhoneにまで疑惑が拡大
端末メーカー側では、社名が名指しであがったNokiaのコミュニケーション担当のMark Durrant氏が、Twitter上で「Carrier IQはNokia端末向けに製品を作成しているのではない。Nokiaもしくは他社がインストールしていることはない」とツイートして、疑惑の払拭を図った。一方のRIMは、Reutersが「RIMはCarrier IQをプリインストールしていないし、提携キャリアに対しても、販売や流通の前段階でインストールすることを許可していない」とする声明文を得たと報じた。
疑惑はiPhoneにも飛び火し、iPhone上のJailbreakなどに通じているchpwn氏(ハンドル名)が11月30日付のブログで、iOS 3~5でCarrier IQが動いていると報告した。Appleはその後、All Things D:に対し、「ほとんどの製品のiOS 5でCarrier IQのサポートを中止している。将来のソフトウェアアップデートでは完全に削除する予定だ」という声明文を出している。
オペレーターでは、アメリカ最大手のVerizon WiressがGigaOMに対し、自社で提供する端末にはCarrier IQをインストールしていないと回答している。イギリスではVodafoneやO2も否定したようだ。だが、AT&TとSprintはArs Technicaに対し、Carrier IQを使っていることを認めている。
その後、数人のセキュリティ専門家がCarrier IQを調査しており、新しい情報も出てきている。たとえば、Los Angeles Timesは、リバースエンジニアリングした結果、「Carrier IQが収集した分析情報が記録されたり、送信された形跡はなかった」とするDan Rosenberg氏の調査を紹介している。
結局どんな情報を収集し、誰に送信していたのか?
正確な情報の提供が望まれる
渦中にあるCarrier IQも、12月1日に最新の声明文を発表した。そこでは以下のように説明している。
・オペレーターがよりよいサービスを提供できるよう、デバイスの性能を測定してまとめている
・プライバシーは保護されている
・われわれのソフトウェアは、モバイル端末とネットワークの性能に関するインテリジェンスを提供し、オペレーターはこれを利用して最善のサービスを効果的に提供できるようになる。ユーザーのエクスペリエンス改善に役立っているのだ
以上、3つのポイントを挙げながら、独立した立場で検証したセキュリティ専門家、Rebecca Bace氏の証言とともに、SMSの内容を記録/保存/送信していることはないと主張している。また盗聴的な疑惑については、「断固として異議を唱えたい」と記している。
すでにCarrier IQに対しては、少なくとも2件の集団訴訟がアメリカで起こっている。そのうちの1件は、Carrier IQとHTCの2社を被告としており、もう1件はCarrier IQとHTC、それにSamsungの3社だ。
今後、Carrier IQが実際にどの端末に入っているのか、情報収集の対象/範囲/方法など、正確な情報が出てくることに期待したい。