Boogie Boardの特長は、付属のスタイラスペンでも爪先でも鉛筆のキャップでも、何ででも思い立ったときにすぐに筆記できることだ。Boogie Board ripもそれは同じだが、筆記データを内蔵メモリーに保存するためには、事前に左側面にあるErase lockスイッチをオフにして、絶対に付属の「専用ペン」を使って筆記する必要がある。
Erase Lockスイッチのオン・オフにかかわらず、LCDそのモノには専用ペンでも、ほかのペンでも、意識せず普通に描けてしまうので、少し質が悪い。途中で気がついてオフ(Unlock状態)にしてもそれ以前のデータは保存されていないので注意が必要だ。UnlockスイッチはLCD上に筆記済みデータの誤消去防止の意味もあるが、同時にパソコン転送データの採取回路をオンにする別の意味をもっているのがややこしい。
すべてのBoogie Boardが採用しているLCDスクリーンは、機能として筆記データの座標を読むことができない単なる文字の書ける黒い板だ。Boogie Board ripでは、LCD上に描かれた結果の文字や絵と、保存されるPDFデータはまったく別の回路技術で同時に生成される仕組みのようだ。簡単に言ってしまえば、元祖Boogie Boardにペンテルのエアペンを機能追加したようなイメージに近いだろう。
Boogie Board ripは、機能拡張された回路のスペース確保のために、LCD周囲の額縁の幅が大きく増し、最上位機種にもかかわらずほかのモデルがすでに採用している大型の10.5型LCDではなく、一回り小さな9.5型LCDを採用せざるを得ない結果となったと想像される。
筆者の持っている数枚のBoogie Boardの中でも、スタイラスペンとLCD筆記面の関係はさまざまだった。筆記の感覚に一番影響を与えるのは、スタイラスペンの先端処理のような気がしたが、付属の専用ペン以外の選択の余地がないBoogie Board ripは少し残念だ。
今も、クライアント機器の雄として生き残っているパソコンは、その「設計思想」がプロダクトの基本だ。そのため、機能的にはほぼ100%近い仕様で市場に登場し、時間の経過と共に、機能性はそのままで、より薄く軽くパワフルに変化してきた。
一方、「閃きやアイデア」が基本となって登場してくるガジェットは、市場を継続的に拡大し、存在価値の陳腐化を避けるべく、ともすれば、時間の経過とともにより多機能に、より大きく、重く、高価格に移行変化して行く危険性が高い。
Boogie Boardも同じ宿命のガジェット・プロダクトだ。ラインアップの拡充を考えた場合、多機能・高機能モデルの投入は必然の対処ではあるが、クラウド・コンピューティング時代、USBケーブルによるワイヤードなクライアント同士の横の連係ではなく、縦のワイヤレス連係処理が求められているのではと考えてしまう。
もし、筆者が今、現在の商品ラインアップからたった1つのBoogie Boardを選ぶなら、迷うことなくシンプルな「元祖Boogie Board」を選ぶだろう。そして筆記したデータはスマートフォンで撮影して、必要があればクラウドにアップロードしてしまうだろう。第四世代のBoogie Board for cloudの登場に期待したい。
今回の衝動買い
アイテム:キングジム「Boogie Board rip」(国内商品名「BB-3」)
価格:1万4800円
T教授
日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
T教授も関わるhttp://www.facebook.com/KOROBOCLで文具活用による「他力創発」を実験中。
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