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アニメファンならぜひ行きたい!聖地巡礼ツアー ― 第16回

「あの花」の聖地・秩父でめんまたちの息吹を感じる

2011年11月10日 18時00分更新

文● 中村信博 ●写真/うえのふみお

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「あの花」にも登場した祭りが開催
今回の聖地巡礼の舞台は埼玉県の秩父!

 10月8日~10日の三連休は、各地でさまざまなイベントが開催されていた。東京・お台場では痛車の祭典「痛Gふぇすた」が(週アスPLUSのレポート記事)。徳島では昨年ASCII.jpでもレポートした「マチアソビ」が開催され、そして石川の湯涌温泉ではアニメ「花咲くいろは」にちなんだお祭イベント「ぼんぼり祭」が開かれて、いずれのイベントでも多くの人出を記録したという。さらに、三重県の鈴鹿サーキットでは「F1 日本GP」も開催されていて、三連休にいずれかのイベントに参加したという読者も多かったのではなかろうか?

 埼玉県西部の山間の町・秩父市でも、ひとつの大きなお祭が開催されていた。秩父の市街地から車で30分ほどのところにある、吉田地区。毎年10月の第2日曜日、吉田の中心にある椋神社では一年で最も大きな例大祭が開催される。この椋神社例大祭(龍勢祭)では、毎年30本ほどの「龍勢」と呼ばれる手作りロケットが奉納として打ち上げられているが、今年はそこにひとつのトピックが加えられることになっていた。

 2011年4月から全国ネットで放送されたアニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(通称・あの花)。幼いころには仲良しだった幼馴染たち、しかし、一人の少女の死をきっかけに、彼らの距離はいつしか遠ざかっていた。だが彼らが高校生となった夏のある日、主人公の前に少女がよみがえる。彼女の願いをかなえるため、彼らはふたたび秘密基地に集まるのだった──。

 この物語の舞台モデルとなったのが、かくいうこの秩父市。作品中では実在の秩父の情景がふんだんに取り入れられており、地元では支援委員会も発足して自治体を巻き込んだ大きな盛り上がりをみせている。そして、物語の中で重要なファクターとなる「花火」は、この椋神社例大祭の龍勢がモデルとされていて、今年は「あの花」をテーマとしたロケットが打ち上げられるという。

 多くの読者と同じように、筆者も「あの花」の物語世界に第1話から惹き込まれた一人だ。そして秩父がこの作品の舞台だと知るや、聖地マニアとしてこの地を踏んでみたい、キャラクターたちが住んでいる町の空気を感じてみたい、と思い焦がれるようになっていた。そんなときに舞い込んできたのが、今年の龍勢祭では「あの花」ロケットが打ち上げられるというニュースである。これはASCII.jp聖地探訪部(いま作った)の記者として行かない訳にはいくまい!

 アニメに登場した舞台を旅人の視点でめぐる特集「聖地巡礼ツアー」。今回は「あの花」の舞台として盛り上がりを見せる秋の秩父路と、そこで行なわれた椋神社例大祭(龍勢祭)をレポートする。

秩父って、どんなところ?

 ふらっと予備知識なしに立ち寄って、その町の雰囲気を楽しむのもいいけれど、目的のある旅なら事前にその町のことを少しは知っておいたほうが、よりいっそうその場所の空気を感じることができると思っている。いつもの通り、今回も秩父の町の予習からだ。

 関東圏の人なら当然の情報だと思うが、秩父は埼玉県西部、四方を山に囲まれた小都市だ。東京・池袋駅から西武鉄道の特急「レッドアローちちぶ」で約1時間30分。車なら関越道経由、もしくは所沢から国道140号利用でたどり着くことができる。

 「あの花」の長井龍雪監督は、作品の舞台として秩父を選んだ理由を「東京の文化圏にあり、山に囲まれた閉塞感を出したかった」としているが、実は秩父の歴史を紐解くと、外に向かって開かれたとても開放的な土地であったことがわかる。秩父の地名が歴史上で初めて登場するのはなんと飛鳥時代で、この土地から産出された純度の高い自然銅が朝廷に献上され、日本最古の銅銭「和同開珎」が鋳造されたことでも知られている。

 周辺の山から産出される木材などの物資の集積地として、また町の中心部にある秩父神社の門前町として近世に栄えた秩父が、さらに隆盛を極めるようになったのは明治に入ってから。もともと秩父は養蚕がさかんな地域だったが、明治維新以降にフランス政府の援助で大規模な生糸生産に乗りだし、この町に莫大な富をもたらしたのだという。

 ところが明治15年(1882)、リヨン生糸取引所で起こった生糸の大暴落が、秩父の製糸業を直撃。その2年後、一転して貧困にあえぐようになった秩父の農民が中心となって秩父困民党が結成され、日本最大の武装蜂起事件といわれる「秩父事件」が勃発する。自由民権運動の急先鋒として、一時は秩父の町を占拠するなどした困民党だったが、やがて軍隊をも繰りだしてきた明治政府に各所で敗北、鎮圧されてしまう。2004年の映画「草の乱」や、安彦良和氏のマンガ「王道の狗」でも語られた「秩父事件」は、この地方の人々がいかに外の世界へと目を向け、そして自由を渇望していたかを物語っているのだ。

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