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Webと事業の成果をつなぐKPIの設定

2013年11月01日 11時00分更新

文●江尻俊章/環

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 KPIとは、重要業績評価指標(Key Performance Indicator)の略で、本来は経営管理で用いられる指標です。Webマーケティングではアクセス解析によってさまざまなデータを取得できますが、一方でデータの種類が多すぎて、何かを判断することは困難です。Webサイトを事業の成果につなげるには、データを組み合わせて適切な指標を立てる必要があります。

 Webサイトを企画する段階で、事業の成果に繋がるようなKPIを明確に設定しましょう。

KPIの設定方法

 Webサイトの種別によって典型的なKPIはありますが、KPIは業種や規模で決まるものではありません。まずは企業がWebサイトに求める目的・ゴールからブレイクダウンしてKPIを決めるようにしてください。このような目的・ゴールをKGI(Key Goal Indicator)と言い、ECサイトであれば売上高などを設定します。

 さらにKGIの達成に必要な要素や行動であるKSF(Key Success Factor)を定めます。たとえば資料請求サイトでは、顧客獲得数を増やすために広告で予算内に目標の人数を集客することが挙げられます。

 このKGIとKSFを達成するために必要な目標数をKPIとして決めます。ECサイトであれば新規顧客獲得件数や、既存顧客の再訪問数などが挙げられます。アクセス解析のデータから求めるのではなく、事業の目標(KGI)から求めることに注意してください。

KPI設定の注意点

 実際にKPIを設定するときには、いくつかポイントがあります。

 1つは、見る人の立場によってKPIの粒度を変えることです。組織責任者であれば売上や費用が重要ですが、Webマスターであれば検索キーワードごとの直帰率も見るべきでしょう。立場に合わせて、KPIで見せるべきデータは整理整頓しましょう。

 2つ目は、KPIはアクセス解析で得られるWeb上のデータとは限らない、ということです。たとえば、サポートサイトの満足度が高ければコールセンターの受電数が下がるので、受電本数をKPIにしてもよいでしょう。

 3つ目は、シンプルであることです。KPIが下がったら業績が下がる(あるいは上がる)といった傾向がみられるように、業績と連動する指標を設定するとよいでしょう。

 このように、KPIの設定はデータ分析のノウハウと経験が必要です。具体的には事業のヒアリング能力とマーケティングの両面に通じていることが求められます。場合によってはWeb解析に通じたプロのコンサルタントに依頼するもことも検討しましょう。

 

著者:株式会社 環

Web解析を軸に2000年創業。「誰もがチャンスをつかめる社会を創る」を理念に地方中小企業に対しアクセス解析ツール「シビラ」とWeb解析コンサルティング、Webサイトの改善やリスティングの最適化を提案している。楽天ビジネスアワードを4回受賞。JWDAウェブ解析&リサーチ委員会委員長。最近は「JWDAウェブ解析士」の運営支援も行なっている。現在Web解析に関心がある人材を募集中!

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