そして、マニアは喜ぶが、一般人は引くかもしれないこだわりポイントが、ビス(ネジ)。HDMIコネクター部分を固定するためのビスの材質や長さを見直すほか、天板や側板、背面パネルといった部分を固定するためのビスも、よく見てみると部位によって違うものが使われている。
これも、すべて統一した方が効率が良いのは間違いないが、ビスの素材によって音質に影響があるため、必要に応じてビスの種類を変えているのだそうだ。
このほか、大きな特徴であるバーチャルサラウンド対応ヘッドホン出力も、新設計でヘッドホン出力回路専用にオーディ回路と同じ32bitオーディオDACを搭載、オーディオアンプ部と、40bitDSPなどで構成されるデジタル処理部は電源部を独立させるなど、あきれるほどのこだわりが随所に満ちている。
BDZ-AX2700Tも、3チューナー内蔵や2TB HDD内蔵といった違いを除けば、基本的な機能は下位モデルと同様で、大きな違いは画質・音質と言える。深夜の映画鑑賞などにはとても便利な、しかも高音質なヘッドホン出力を備えているのが本機だけということもあり、画質・音質にはあまりこだわらないという人でも、なかなか魅力的なモデルだと思う。
画質を見てみると、ことさらに精細感の高さやキリっとした輪郭などを見せつけず、穏やかなトーンの映像になっていることがわかる。ただし、精細感が甘いわけではなく、ディテールの再現性などは、古いBDレコで同じソフトを見るとがっかりしてしまうほど微細な情報をしっかりと描き出している。
従来よりも大きく向上した点としては、色の再現性が向上したこと。先述した色純度改善の効果だが、色の境界がにじまず、微小な色の再現性も高まった。とあるBDソフトの宇宙空間で白一色だと思っていた星が、実は淡い青や赤のものが混じっていたことに気付かされたのには驚かされた。
しかも、画質調整項目がかなり多く用意されているので、素性の良い画質をベースに自分好みの映像に追い込む楽しみがある。絶対使わなければいけない機能ではないし、使用する環境やディスプレーに合わせたおすすめ設定のプリセットもあるので、それらを使えば画質調整をいじるのが面倒という人でも心配なく使える。
そして音質もかなり優秀だ。まず音の粒立ちが良く、音楽などを聴いていてもひとつひとつの楽器の音がより鮮明に再現される。これはやはり徹底したノイズ対策の賜物だろう。低音の力感も筋肉質の締まった厚みを感じさせる。これらが相まって、サラウンド再生では、部屋が一回り大きくなったような音場空間になる。音質面でもことさらに解像感の高い印象はなく、落ち着いて聴ける自然な感触になっている。
BDZ-AX2700Tも、パナソニックと同様に画質・音質にこだわる人ならば、20万円の価値を十分に感じる出来と納得できる仕上がりだ。唯一惜しいと思うのはBDZ-AX2700Tではなく、下位のAT系シリーズだ。正直に言ってしまうと、AX2700Tの画質とAT系シリーズの画質にはちょっと大きな差がある(音質は言うまでもない)。DMR-BZT910に食い下がる実力のDMR-BZT810の出来映えを見てしまうと、主力モデルにもさらなる奮起を期待したいところだ。
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